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鉄道やバスの運賃にも、軽減税率を導入すべきだ

岸田法眼 レイルウェイ・ライター

自動改札機毎日のように電車に乗る人にとって、運賃値上げの負担は馬鹿にならない

 2019年7月に入り、全国の各鉄道事業者が10月1日からの消費税率の引き上げに伴う運賃や料金改定を国土交通省に申請した。たとえば関東では、JR東日本など大手同様、関東鉄道でも1円単位の運賃を導入する。

 しかしながら、消費税率引き上げに伴い、現行の8%のままとする軽減税率を公共交通機関に適用しないのはいかがなものだろうか。

ややこしい軽減税率

 国税庁のホームページによると、軽減税率の対象となっているのは、大手の一般紙、スポーツ紙など、週2回以上発行する新聞や、外食、酒類を除く飲食料品に限られる(例外あり)。また、大手のコンビニエンスストアでは、交通系ICカードなど電子マネーで支払うと、合計額の2%を割り引くサービスも行われる。

 いずれも「生活必需品」に認定される形での軽減税率だが、生活に欠かせないものが他にもあるのに、そこに不適用とは首をかしげる。本来、現行の消費税率も、「生活必需品」には8%ではなく、3~5%に引き下げるのが理想だと思うが、それは叶わぬ願いだろうか。

公共交通機関の運賃に軽減税率を

 特に生活に欠かせないものとして、鉄道、バスなどの公共交通機関がある。私はこれらの運賃や料金に軽減税率の導入を強く求めたい。

 その理由は下記の通り。

① 家計の負担を和らげる
 家計に占める交通費の額は馬鹿にならない。たとえば、買い物にしても通院にしても、消費税率が引き上げられれば、商品や医療費に交通費の値上げが加わることになる。定期券も、通勤の場合は大半は企業側が支給するが、通学定期券のほとんどは保護者が支払うのだから、ますます家計への負担が大きくなる。

② 高齢ドライバーの運転免許返納を推進させる
 近年、高齢ドライバーによる事件、事故が相次ぎ、社会問題となっている。過日、俳優の杉良太郎さんが運転免許を自主返納し、話題となったが、自動車の技術が進化しても、日本の鉄道車両の保安装置を自動車向けにアレンジしたものを開発、導入しないと、事故が減らないのではないだろうか。

 地方は、自動車がないと不便なところも多いが、21世紀に入って、全国各地でコミュニティーバスが運行されるようになるなど、公共交通機関で補うような動きも出てきた。買い物や通院の足としての需要が高いほか、地域によっては通勤・通学の足として機能している。あえて難点をあげるなら、年末年始の運休が多いことだろうか。

 軽減税率を導入することで、高齢ドライバーの自主返納を推進させ、移動手段を自家用車から公共交通機関に転換を図ることも重要な施策といえよう。

 なお、2019年9月14日に熊本県内で路線バス(一部を除く)、熊本市電(路面電車)、熊本電気鉄道の電車が終日利用できる「熊本県内バス・電車無料の日」が実施される。せっかく無料で利用できるのだから、公共交通機関の利便性を検証し、運転免許返納の推進を検討するいい機会ではないだろうか。

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