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加藤和樹インタビュー/下

ミュージカル「怪人と探偵」、歌のバトルは面と向かって勝負したい

真名子陽子 ライター、エディター


加藤和樹インタビュー/上 

はかなく消えてしまいそうな本質を見せられたら

拡大加藤和樹=岩田えり 撮影
 
――どんな明智小五郎になるんでしょう?

 今回は歌の中で心情を吐露するシーンが多いので、そこでいかに普段みんなといる時との差を出せるか? 決して人の前で慌てたりはしないし、探偵団のみんなには慕われているので弱い姿を見せないんです。けれど、ふと一人になった時に、悩みや弱さを表情なども含めてガラッと変わった明智を見せたいですね。ほおっておいたらはかなく消えてしまいそうな彼の本質の部分を見せられたらと思っています。

――歌い方にも変化を付けて?

 日々、芝居をしていく中で感じることも変わっていくと思いますし、歌に乗せる感情も変化していきます。怪人二十面相やリリカ、そして自分に対しての思いがもっともっと出てくれば歌い方も自然と変わってくると思います。

――怪人二十面相役の中川さんとは2回目の共演ですね。

 アッキーさんが持つ歌声の力はやはりすごくて、有無も言わさない説得力があります。そこに役柄がリンクしてくればとんでもない怪人二十面相になるんじゃないかなと思っています。怪人二十面相は明智よりも感情的だったりするんです。普段はとてもクールでいろんな仕掛けをしてスマートに決める怪人二十面相ですが、リリカと出会うことによって彼も愛するということを知ります。彼は劇中で「世界で一番綺麗な宝石に巡り会えた」と歌うんですね。怪人と呼ばれているけれどもひとりの人間に変わりはないので、ひょっとしたら明智よりも人間臭いかもしれないですし、とても新鮮な怪人二十面相になるんじゃないかな。そこをアッキーさんは素敵に仕上げてこられると思います。

――一緒に歌うシーンもありますね。

 最後のシーンは歌のバトルみたいになっていて、感情のぶつけ合いになると思います。立ち回りをしながら歌いますし、怪人二十面相と明智の激高した姿をお見せするのはとても楽しみです。すべてぶつけられる相手だからこそ、面と向かって勝負したいなと思っています。

――リリカ役の櫻子さんはいかがですか?

 初めて共演するんですが、歌声がとてもストレートで感情をわかりやすく、ちゃんと芝居としての歌を届けられる方だなと思います。とても素敵な方です。リリカは、ある意味今回のキーになる人物です。人を愛することに対する怖さなど、女性として感情が揺れ動く様子は見ていてとても切ないものがありますし、それを表現するのは難しいだろうなと思います。まだまだ、みんな悩んでいますね。三人の関係性をどうお客さまに届けるか……。

白井演出で千本ノック

拡大加藤和樹=岩田えり 撮影
 
――演出の白井晃さんとは『№9-不滅の旋律-』(2015年)以来です。

 白井さんが演出されるミュージカルに出させていただくのは初めてなんです。オリジナルということもあると思うのですが、雪之丞さんが描く世界観とのバランスを考えながらいろいろ試されていらっしゃいます。これから白井ワールドが炸裂すると思うんですけれども、本格的に芝居の要素が入ってくると、作品の世界観がよりぐっと深まるんじゃないかなと思っています。

――炸裂する白井ワールド、楽しみですね。

 ……すでに僕に対する当たりが強いなと思う時があるんですけど(笑)。でも、とてもありがたいんです。役者ができるまでとことん付き合ってくださる愛のある演出家です。千秋楽までダメ出しをされるんですが、それは作品のためであり役者のためでもあるんですよね。そこまでしてくださる演出家はなかなかいません。ご自身も役者なので、芝居をつけてくれる時に白井さんがやって見せてくださるんですけど、巧すぎてみんながそれを超えられないという……。

――そうなんですね。

 今まで白井さんの演出を受けてきた中で、自分にできるのかな、もうできないかもしれないと思う時もあったんですけれども、でもそれが演出家・白井晃が演出したいものなのであれば、どんなことがあっても食らいついていかなきゃいけないんですよね。

――そうですね。

 初めてご一緒させていただいた時は血がにじむような稽古を繰り返しました。自分に与えられた使命がある。けれど、白井さんのイメージについていけない自分がすごく悔しくてね。稽古場でいろいろトライするんだけど、そうじゃない、違う、なんでできないんだって、千本ノックのようでした(笑)。

◆公演情報◆
ミュージカル『怪人と探偵』
横浜:2019年9月14日(土)~9月29日(日) KAAT神奈川芸術劇場〈大ホール〉
兵庫:2019年10月3日(木)~10月6日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
原案:江戸川乱歩
作・作詞・楽曲プロデュース:森雪之丞
テーマ音楽:東京スカパラダイスオーケストラ
作曲:杉本佑雄治(WEAVER)
音楽監督:島健
演出:白井晃(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
[出演]
中川晃教、加藤和樹、大原櫻子
水田航生、フランク莉奈、今拓哉、樹里咲穂
有川マコト、山岸門人、中山義紘、石賀和輝
高橋由美子、六角精児 ほか

〈加藤和樹プロフィル〉
 2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴びる。翌年Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。2009年には韓国、台湾、中国でCDデビューを果たし、国内外で精力的な音楽活動を行う傍ら、舞台・ミュージカル・映像作品にも多数出演し、俳優・声優としても活躍の場を広げている。近年の主な出演作品は、『BACKBEAT』、『暗くなるまで待って』、project K『僕らの未来』、『1789-バスティーユの恋人たち-』、『マタ・ハリ』、『ハムレット』など。11月から『ファントム』、2020年1月から『フランケンシュタイン』への出演が決まっている。また、新曲「Tell me why」を9月11日に配信シングルとしてリリース。2020年6月から、一人でステージに立つ全国ツアー「Kazuki Kato Road Tour 2020 ~Thank you for coming! 2~」とTHE DRASTICSと廻る東阪バンドバージョン「Kazuki Kato Live GIG 2020~タイトル未定~」を、過去最多となる全国24ヶ所(25公演)で開催される。
加藤和樹公式ホームページ
加藤和樹公式twitter

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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