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ウッドストックの「愛と平和」が甦り続ける理由

丹野未雪 編集者、ライター

ウッドストックの精神性、その後

 公民権運動やベトナム戦争の泥沼化を背景に、単なる娯楽ではなく、知的な「文化」であり「芸術」だと主張されるようになったロックは「実に幅広く雑多な音楽たちを包括する雄大かつ乱暴なジャンル名であり、コンセプトだった」と萩原氏はいう。しかし、ポップ・ミュージックの細分化とともに、「そうした感触のピークを体現する一大イベントだった」(萩原氏)ウッドストックは、途中フリーコンサート化して事実上興行的には失敗し、その思想性も次第に脱色されていく。

 アメリカにおけるウッドストック後のロック・フェスティバルの変遷に、ビッグ・ビジネス化し、知的な「文化」「芸術」から娯楽へ転じていくロックと、精神性の表現としての合間をまさに揺れ動く「聴衆のニーズ」がみてとれる。

 たとえば、1997〜99年にわたり開催されたリリス・フェア。五十嵐正氏の論考で、このフェスの存在を寡聞にして初めて知ったのだが、女性アーティストだけを主役に、数多くの女性スタッフたちによって実施されたのだという。ライブ盤の内容説明には、「サラ・マクラクランが提唱した“女性による、女性のための”コンサート・ツアーから20組あまりを収録」とある。いわば、フェミニズム的なムーブメントでもあった。

 だが同時期、会場内でレイプや暴力事件が勃発し、 ・・・ログインして読む
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筆者

丹野未雪

丹野未雪(たんの・みゆき) 編集者、ライター

1975年、宮城県生まれ。ほとんど非正規雇用で出版業界を転々と渡り歩く。おもに文芸、音楽、社会の分野で、雑誌や書籍の編集、執筆、構成にたずさわる。著書に『あたらしい無職』(タバブックス)、編集した主な書籍に、小林カツ代著『小林カツ代の日常茶飯 食の思想』(河出書房新社)、高橋純子著『仕方ない帝国』(河出書房新社)など。趣味は音楽家のツアーについていくこと。