ウルリケ・クラウトハイム(Ulrike Krautheim) ゲーテ・インスティトゥート東京
1973年生まれ。ゲーテ・インスティトゥート/東京ドイツ文化センター 文化部企画コーディネーター
1920年代の光と影が現代を映す『バビロン・ベルリン』
繁栄と貧困、自由と退廃が混然となった1929年のベルリンを描き、ヨーロッパで絶大な人気を集めるドイツの連続ドラマ『バビロン・ベルリン』が、日本に初上陸する。ドイツのテレビ史上、最大規模の予算をかけて制作されたこのドラマは、「黄金の20年代」と呼ばれた当時のベルリンを克明に再現。ケルンからやってきて地下組織を探る刑事を軸に、この街で生きる様々な階層の人々と社会の諸相が、スリリングにつづられる。
謎めいた事件、犯罪組織、第1次大戦の傷痕、ソ連スターリン体制への抵抗運動、市井の暮らし、華やかなキャバレー文化(描かれるのは、ミュージカルの名作「キャバレー」の少し前の時期だ)……。サスペンス、社会性、エロティシズムなど、多彩な要素の詰まったこのドラマは、本国ドイツでは2017年10月から第1シリーズが放送されて大きな反響を呼んだ。国内の主要な賞を独占。「ヨーロッパ映画賞」で今年新たに設けられた「フィクション連続テレビ映画への貢献賞」が、脚本・演出を共同で手掛けたアヒム・フォン・ボリース、ヘンク・ハントロークテン、トム・ティクヴァの3人に贈られることが、今月10日に発表された。
現在は第3シリーズの放送が準備されている。米国などではNetflixが配信している。日本では無料衛星放送のBS12トゥエルビで、10月4日から放送が始まる。それに先立ち、9月20日に、東京・赤坂で上映会とトークショーが開催される。
「このドラマには、現代ドイツに通じることがたくさんある」と語るゲーテ・インスティトゥート/東京ドイツ文化センターの文化部企画コーディネーター、ウルリケ・クラウトハイムさんに、「ドイツの視聴者はなぜ、『バビロン・ベルリン』に夢中になったのか」をつづってもらった。(編集部)
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