メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

熊谷真実&山野海&岩田和浩インタビュー/上

ふくふくや『こどものおばさん』、おばさんたちのおもしろおかしい話を書きたかった

真名子陽子 ライター、エディター


拡大熊谷真実(右)と山野海=宮川舞子 撮影

 女優・山野海が主宰するふくふくやの第20回公演『こどものおばさん』が、26日に初日を迎えます(10月6日まで、下北沢駅前劇場)。ふくふくやは山野さんが竹田新の名前で全公演の脚本も手がけ、毎公演多様な客演を迎えて上演しており、今作の『こどものおばさん』には熊谷真実さんが出演します。人が人として生きていくうえで当たり前に渦巻く「情」から目をそらさず、でも寄り添ってくれる優しさがあり、「笑いながら泣かされる、泣きながら笑わされる」と定評があるふくふくや。今作では、二人のおばさん(熊谷さんと山野さん)とおばさんが15歳だった頃の二人(熊谷さんと山野さん)が、心の奥をどのように解き放ってくれるのでしょうか……。

 熊谷さんと山野さんにお話を伺い、“こどもおばさん”のことや出会いからお互いの印象、そして、歳を重ねることについて、15歳の頃の話、などなどを爆笑しながら聞かせていただきました。また後半からは、ふくふくやのプロデューサーの岩田和浩さんに入ってもらい、今年20周年を迎えるふくふくやのこと、そして今後の展望などをお伺いしています。また、たくさんイスがあったので、イスに埋もれる感じで…というカメラマンさんの要望に瞬時に応えてくださったお二人はさすがでした。

おばさんも恋する心を持っている

拡大熊谷真実(右)と山野海=宮川舞子 撮影
 
――『こどものおばさん』、このタイトルだけでワクワクします。

山野:真実さんが出演していただけるということで、このお話を創りました。真実さんと私は幼なじみの設定で中学3年生まで一緒に過ごすのですが、その後いろいろあって別れて、35年後に熟女バーより上の超熟バーで再び出会います。そこで二人はホステスをしているんです。

――超熟バー???

山野:私も熟女バーしか知らなかったんだけど、ある日真実さんが超熟バーというのがあるらしいよと教えてくれて。

熊谷:熟女バーで働いている方はだいたい30~40代で、それより上になると超熟、メガ熟ってなっていくんですって。

山野:それを聞いて、これは使えるんじゃないかなと。私たち二人は50歳と言う設定なので、熟女バーを追い出され超熟バーで働いていて、そこで35年ぶりに幼なじみの二人が再会するんですが、タイトルにあるようにおばさんもこども心を持っているし、おばさんも恋する心を持っているし、おばさんも怖気づくときもあって繊細でデリケート。だけど、やっぱり大人の強さとしたたかさがあって、それらが入り混じったおばさんたちのおもしろおかしい話を書きたかったんです。

――それは真実さんが出演してくれるという前提で書かれたんですか?

山野:もちろん! ただおもしろかったのが、自分のことを前から“こどもおばさん”と言っていて、好きなことには集中するけれど、興味がないことには見向きもしない。自分がそういう人間なので、『こどものおばさん』というタイトルが良いかなと思って、真実ちゃんに言ったら、なんで知ってるの!?って。

熊谷:そうなの! 主人から“こどもおばちゃん”と呼ばれているんです。だから、びっくりして、どこから私を見てるのって(笑)。外見はおばちゃんなのに中身はこどものままって二人共思っていたんです。そこまでわかっちゃうんだと思って、もともと海さんをすごく尊敬していたんだけど、さらにすごいなと思いました。

山野:そこはすごく似てると思うんです、私と真実さん。だからそれが分かったときに、これで絶対に良い本が書けると思いました。

熊谷:そうしたら、自分のことをこどもおばさんと思っている方が多いこと! SNSでこの作品のことをアップしたら、「タイトルが気にいってお芝居を観に行きたいです」とか、「それは私のことです」とか、そういう方がものすごく多くて、みんな自分のことをおばさんの括りだけではなく、こどもの部分も持ってるって思ってるんですよ。

50歳と15歳の役をやりますっ!

拡大熊谷真実(右)と山野海=宮川舞子 撮影
 
――50歳手前の私はちょっと憧れます、こどもおばさんに。

熊谷:でしょう!? “少女おばさん”でもなく、“乙女おばさん”でもなく、そこは完全にスポーンと抜かしてしまった“こどもおばさん”に、みんなが共感していることに驚きました。

――抜かしてしまった?

熊谷:少女も乙女もすべて経験してきたおばさんの中身はこどもです、ということかな。類は友を呼ぶと言いますが、40代~60代のお友達が多いんですけれども、“こどもおばさん”は自分のことだとみんな思っていますね。ホントに海さんはすごいなぁと思いました。

山野:超熟バーで働いているお話なんだけど、二人の現代と過去の話でもあるんです。50代の私たちと、35年前に中学3年生だった二人が別れてしまうまでの話も書くので、今回、私と熊谷真実さんは、50歳と15歳の役をやりますっ!

熊谷:お任せください。まったく抵抗なくできます。赤ちゃん以外なら。

(大爆笑)

熊谷:赤ちゃんはずっと寝ているからできないけど、赤ちゃん以外だったら何歳でもやる自信があります。

山野:さすがです! でも、15歳の話を書いていたときに、真実さんの声が聞こえてくるんですよ。作った声ではなくて真実さんのこのままの声でいけるなと、何の違和感もなく書けたんです。以前、『フタゴの女』(2014年/第15回公演)という小泉今日子さんに出演したもらった作品を書いたときに思ったんですけど、14・5歳の女の子って大人でもなくこどもでもなくて、だけど意思はちゃんとあって、背伸びもするし、怖さも感じているけれどずるさもあったりして……。

熊谷:自分に宛てて手紙を書いたよ、14歳くらいだったかな。大人になった自分に宛てて手紙を書きましょうって……あっ私、小学5年生から日記を書いていたんです、今でも持ってるんだけど。

山野:それ宝物だね!

熊谷:今度、持ってくるね。高校を卒業するくらいまで書いてたかな。いやあ、貸せばよかったね~、今、思い出した、ごめん!(笑)

山野:(笑)。見たい見たい、ホントに貸してね、中学生の頃だけでもいいから。

◆公演情報◆
ふくふくや第20回公演
『こどものおばさん』
2019年9月26日(木)~10月6日(日) 下北沢駅前劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
作:竹田 新
演出:司茂 和彦
[出演]
山野 海 塚原大助 岩田和浩 かなやす慶行 中村まゆみ 浜谷康幸 清水伸/
堀之内良太 岡林愛 熊谷真実

〈熊谷真実プロフィル〉
 1978年、『サロメ』のオーディションに合格して芸能界入りし、同年ドラマデビュー。1979年NHK朝の連続テレビ小説『マー姉ちゃん』の主役に抜擢され、エランドール賞を受賞。『俺たちの交響楽』(1979年)でスクリーンデビュー。その後、映画、ドラマ、演劇さらにバラエティ番組などで幅広く活躍している。2016年『マンザナ、わが町』で紀伊国屋演劇賞・読売演劇賞受賞。
熊谷真実オフィシャルサイト

〈山野海プロフィル〉
 女優、劇作家、脚本家。4歳から子役として活動を開始し、舞台や映画に出演。1999年、劇団ふくふくやを立ち上げ、全公演に出演。作家“竹田新”として脚本を書き下ろす。『救命病棟24時』や大河ドラマ『八重の桜』など、ドラマ作品にも多数出演。2016年にゴツプロ!第1回公演『最高のおもてなし!』で演出家としてもデビュー。それが書籍化され、初の書籍『最高のおもてなし!』(竹田新)が2017年秋に幻冬舎から出版された。
山野海公式ツィッター

・・・ログインして読む
(残り:約1317文字/本文:約4531文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

真名子陽子の記事

もっと見る