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熊谷真実&山野海&岩田和浩インタビュー/下

ふくふくや『こどものおばさん』、太陽みたいな人で一緒に芝居をしたいと思った

真名子陽子 ライター、エディター


熊谷真実&山野海&岩田和浩インタビュー/上 

ここにいたら間違いないと思った

拡大右から、熊谷真実、岩田和浩、山野海=宮川舞子 撮影
 
――真実さんとやりたいと思ったきっかけは?

山野:小泉今日子さんと真実さんが出ていた『頭痛肩こり樋口一葉』(2013年)を観に行ったんです。もちろん真実さんのことは知ってはいましたけど面識はなく、芝居を観て上手い女優さんだなぁって改めて思ったんですね。明るいしコメディのお芝居もお上手で、本当の巧さの質って舞台を観るとすぐわかるじゃないですか。また今日子さんが「まみちゃん、すごくいい子だよ」って言ってて……。

熊谷:そう、今日子さんから天使って言われて、その言葉は宝物です。

山野:今日子さんとの逸話があるんだよね!?

熊谷:私、好き過ぎるとヘマしちゃうんです。初めてお会いしたときに、「こどものころから大好きなんです」て言ったら、「あれ? 真実ちゃん私より年下じゃないよね」「……そうでしたって」(笑)。記憶を間違えて言ってしまって、ずっと私の方が年上なのに。

山野:そんな真実さんの話をいろいろ今日子さんからも聞いてて、おもしろい方だなと思っていたんです。そうしたら、うちのメンバーの塚原大助が『世襲戦隊カゾクマンⅡ』(2017年)で真実さんと共演して仲良くなって、大助からも素晴らしい人だよって聞いてたんですね。ある時、大助が主宰しているゴツプロ!の作品を、本番は観に来れないからとわざわざ通し稽古を観にきてくれて、衣装も何もついてないのに誰よりも泣いて、誰よりも笑ってくれたんです。でね、その後興奮気味にカレー屋さんに行ったんですよ、みんなで。いっぱいしゃべってるんだけど、真実さんが穿いていた黒いスカートがナンのカスだらけになっていて、もうそれがおかしくてね。その日に初めてご挨拶させていただいて、最初は敬語を使ってたんだけどすぐ仲良くなって、途中から真実ちゃんさぁって(笑)。ホントは先輩だから敬語使わないとダメなんだけど、そのスカート見たら敬語使っても仕方がないかなと思ってさ(笑)。

熊谷:(笑)。そうだったね。もう敬語じゃなくていいよねーって言うから、とっくにいいけどって。

拡大右から、岩田和浩、熊谷真実、山野海=宮川舞子 撮影
 
山野:太陽みたいな人なんです。この人とふくふくやで一緒に芝居をしたい、絡みたいと思ったし、絶対にふくふくやが合うと思ったので、ダメ元で出ていただけませんかってお願いしたら快諾してくださったんです。

熊谷:もう喜んで、ですよ! 迷いなんてないし、ご一緒させていただきたいなと思っていましたから。ゴツプロ!もふくふくやもおもしろいし、役者とスタッフさんにすごくパワーがあるんです。大ちゃん〈塚原〉も海さんも、もちろん皆さんが最高の笑顔だし、打ち上げは妙に人多いし、絶対知らない人が潜り込んで飲んでるよねって思うくらい、ありえないくらいの人数いるんですよ。この人たちすごいなぁ、なんだこのパワーは!と思って、すっかりやられてしまいましたし、ここにいたら間違いないと思いました。

――間違いないと……。

熊谷:お芝居って人が透けて見えるというか……ものすごく巧い人でも、その巧さの後ろにその人が見えるんですよね、2時間も凝視していたら。60近い大人だからわかります。その中でここの方たちは心根が良いなって、言い方はおかしいかもしれないけれど、酸いも甘いも知ったその先にある本当の笑顔だなって思ったんです。打ち上げもただのどんちゃん騒ぎじゃなくて、辛さや寂しさなどを経験してきたから持っている、根っこのある明るさっていうのかな。ここに身を置きたいと思ったことは間違っていないと思っていますし、反対に間違っててもいいやって思うくらい。同じ土俵に上がるんだけど、はっけよい残ったで戦うんじゃなくて、ずっと抱き合っていたいみたいな……。

山野:(笑)、やだあもう、真実ちゃんったら! って、おばちゃん同志でいちゃいちゃするっていうね。

――真実さんから見た海さんの魅力は?

熊谷:この豪快な笑い声の中に繊細な部分が見え隠れするところ。だからと言って神経質ではなく人のことを観察している風でもなく、全部を包んでくれるこのおおらかな大きな笑い声の中に、酸いも甘いも出ているんですよね。まぁ、この年で苦労していない人っていないですけどね。

山野:時々でどう消化するかで、どの方向へ行くのかが変わりますよね。

熊谷:この50歳からの10年は意外と素敵なんですよ。だから、海さんが50歳という設定にしたことには意味があると思うんです。

◆公演情報◆
ふくふくや第20回公演
『こどものおばさん』
2019年9月26日(木)~10月6日(日) 下北沢駅前劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
作:竹田 新
演出:司茂 和彦
[出演]
山野 海 塚原大助 岩田和浩 かなやす慶行 中村まゆみ 浜谷康幸 清水伸/
堀之内良太 岡林愛 熊谷真実

〈熊谷真実プロフィル〉
 1978年、『サロメ』のオーディションに合格して芸能界入りし、同年ドラマデビュー。1979年NHK朝の連続テレビ小説『マー姉ちゃん』の主役に抜擢され、エランドール賞を受賞。『俺たちの交響楽』(1979年)でスクリーンデビュー。その後、映画、ドラマ、演劇さらにバラエティ番組などで幅広く活躍している。2016年『マンザナ、わが町』で紀伊国屋演劇賞・読売演劇賞受賞。
熊谷真実オフィシャルサイト

〈山野海プロフィル〉
 女優、劇作家、脚本家。4歳から子役として活動を開始し、舞台や映画に出演。1999年、劇団ふくふくやを立ち上げ、全公演に出演。作家“竹田新”として脚本を書き下ろす。『救命病棟24時』や大河ドラマ『八重の桜』など、ドラマ作品にも多数出演。2016年にゴツプロ!第1回公演『最高のおもてなし!』で演出家としてもデビュー。それが書籍化され、初の書籍『最高のおもてなし!』(竹田新)が2017年秋に幻冬舎から出版された。
山野海公式ツィッター

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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