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荒川・四つ木橋朝鮮人虐殺追悼式に参加して

在野の研究者や一般市民が虐殺の記録を残し、追悼してきた

中沢けい 小説家、法政大学文学部日本文学科教授

四つ木橋の追悼式は小学校教員の調査が端緒

 毎年9月の第一土曜日に行われている四つ木橋の荒川河川敷追悼式も、もとは小学校教員だった絹田幸恵さんの調査が端緒になっているそうだ。荒川放水路の歴史と調べるうちに朝鮮人虐殺の証言に行き当たる。1970年代のことだと西崎雅夫「関東大震災朝鮮人虐殺の記録」(現代書館)の序文に顛末が記されていた。四つ木橋あたりで大勢の朝鮮人が殺され、その遺体は河原に埋められたという証言をもとに1982年9月に遺骨を探す試掘が行われたが、遺骨を見つけることはできなかった。後に河川敷に埋められた朝鮮人の遺体は、警察の手で密かに発掘、移送されたことが判明した。これは当時の日本政府の方針が背景にある。「速やかにその遺骨は不明の程度に始末すること」と朝鮮総督府警務局の書類に記載されている。政府によって朝鮮人虐殺事件は意図的に隠蔽された。

 同じ7日に横浜でも朝鮮人虐殺事件の追悼式が行われていた。横浜でも事件の詳細を調べたのは、民間の篤志家であることを後藤周さんからお聞きした。虐殺事件は横浜から始まり、

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筆者

中沢けい

中沢けい(なかざわ・けい) 小説家、法政大学文学部日本文学科教授

1959年神奈川県横浜市生まれ。明治大学政治経済学部政治学科卒業。1978年「海を感じる時」で第21回群像新人賞を受賞。1985年「水平線上にて」で第7回野間文芸新人賞を受賞。代表作に「女ともだち」「楽隊のうさぎ」などがある。近著は「麹町二婆二娘孫一人」(新潮社刊)、対談集「アンチ・ヘイトダイアローグ」(人文書院)など。2006年より法政大学文学部日本文学科教授。文芸創作を担当。

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