もし入試に出題ミスがあったら

入試問題にミスがあったことを認め、謝罪する京都大学(左)と大阪大学の記者会見=2018年
新しい大学入試での英語民間試験の導入は問題が多すぎる。あまりに多すぎて、一つひとつ扱っていると、かえってわからなくなってしまいそうだ。ここではざっくりと、私たちが掲げる社会の価値観から、いやいや、そんな硬い表現ではなく、「当然だよね」と思っているところから考えてみたい。
前回は公平性の観点から疑問を提示した。今回は公開性、透明性の観点から。
覚えている方も多いと思うが、一昨年、大阪大学と京都大学の入試で相次いで出題ミスがあった。両大学はミスを認め、追加合格者を出し、新聞やテレビは大きく報道した。入試における出題ミスの重さ、責任の大きさ、事後の対応の大事さをあらためて知る出来事だった。
なぜ出題ミスがあったとわかったのか。
それは、阪大と京大が実際に出題した入試問題をすぐに公開していたからだ。そのため高校や予備校の先生たちが公開された問題を検証することができ、ミスを見つけ、大学側に指摘したからだ。もし大学が問題を公開していなかったら、ミスは見つけられないままで、本当は合格していた受験生が落ちたままだったかもしれない。
問題が公開され、社会の目にさらされることで保証される、試験の透明性。英語の新入試では、そこに疑問がある。