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中尾ミエインタビュー/下

『ザ・デイサービス・ショウ』、最後の最後まで無駄なく生きて欲しい

真名子陽子 ライター、エディター


中尾ミエインタビュー/上 

媚びた作品は創りたくなかった

――今回、グランドフィナーレと銘打たれています。

 皆さん高齢なので、一旦ここで一区切りかなと思って。でもレギュラーでやってきた作品なので、やろうと思えばいつでもできます。お客さまの要望と出演者の皆さんが元気だったら、いつでもできる体制は取っておきますよ。

――そのフィナーレで全国を回られます。結構ハードなスケジュールですが、そのモチベーションはどこからくるんですか?

 私も含めてみんなが楽しいと思ってやっているの。そして、楽しもうと思う気持ちが大事。バス移動の途中に名所があれば寄って行きますし、仕事しながら観光ができるなんてと、楽しんでくれています。そういう気持ちじゃないかな。正司花江さんは温泉が大好きだから、見つけたらさっさといなくなっちゃうしね(笑)。

――若い方に向けて創っていないとおっしゃっていましたが、若い方にも観て欲しいと思ったりします。

 もちろん観てくれたらうれしいですよ。でもね、そこを意識して媚びた作品は創りたくなかったの。若い方は来なくていいですよって言えば、反対に興味を持って怖いもの見たさで観に来てくれるかなって(笑)。隣の稽古場の若い子たちが見に来るんですよ、おもしろそうですね、なんて言いながら。おもしろいよ~って言ってね。

努力しなかったら楽しい思いなんてできない

拡大中尾ミエ=岩田えり 撮影
 
――今の若い方たちに思うことはありますか?

 そうね、努力することがカッコ悪いと思ってる人が多いよね。だけどさ、努力しなかったら楽しい思いなんてできないですよ。みんな年老いて死ぬんだし、あなたたちだけずっとそのままではいないんだよって。できるだけ先のことを考えて努力して楽しんでいかなきゃね。

――スターファイルの読者層が40~50代の女性が多いのですが、何かアドバイスをいただけるとしたら?

 趣味を持つことですね。自分が一人になってもこれがあったら寂しくないと思えるもの。さっきも言ったようにこれは個人のことだから誰かに強制されてすることではないんだけど、私は音楽が好きだから、朝起きたらすぐにラジオをかけるし、帰ってきてもすぐ音楽をかけます。でもそれがうるさいって感じる人もいるし、みんな同じではないからね。私は音楽が流れていたら何も寂しくないの。音楽が好きで良かったなと思うし、たまたま仕事にしているから、なおさら強みになります。音楽を聴いて、時間があれば水泳をしたりジムに通ったりするのが楽しみ。そういうものを何かひとつでも見つけるといいと思います。こればかりは自分で見つけるしかないですもんね。

――そうですね。

 そして、興味があればまず一歩踏み出すこと。私は30歳の時にジャズダンスを始めたんだけど、10年一区切りと思っていて、ジャズダンスを10年やったときに自分に何が足りないか見えてくるわけです。もっと上手くなるためにはクラシックバレエをやったほうが良いと気づいたんです。そこからクラシックバレエを10年続けました。何かを始めると、自分で何がしたいかが見えてくるんです、芋づる式に。でも一歩踏み出さないことには何も見えてこない、扉を開けないことにはね。扉を開けると、今何がしたいか、今の自分に何が足りないかが必ず見えてきます。出会いもあるからいろんなことが楽しくなります。とりあえず一歩踏み出すことですね。

――何歳でもあっても……。

 そう、新しい自分を見つけ出す。自分の能力をここまでと思ったらそれまで。わからないじゃない自分の能力って。ひょっとしたら外国人と恋をして、外国語をしゃべらざるを得ない環境になって、しゃべれるようになるかもしれない。今の生活では想像もつかないことが起こるんですよ。また、そういう能力って自分が一番わかっていなくて、もっといろんなことができる可能性を秘めていると思うの。人間の脳って、使ってない細胞が今使っている細胞の何倍もあるんです。その使っていない細胞を磨けば発達するらしいです。脳科学の先生に聞いたんだけど、物忘れは仕方がないんですって、今まで使っていた細胞はね。でも使っていない細胞を鍛えれば、また違う才能が芽生えるらしいですよ。

◆公演情報◆
オリジナルミュージカル
『ザ・デイサービス・ショウ 2019~It's Only Rock'n Roll~』
[公演日程]
2019年10月5日(土) 埼玉・志木市民会館パルシティ
2019年11月7日(木) 神奈川・相模女子大学グリーンホール 大ホール
ほか全国ツアー公演あり
公式ホームページ
[スタッフ]
作・音楽: 山口健一郎
演出・振付: 本間憲一
プロデュース: 中尾ミエ
[出演]
中尾ミエ/尾藤イサオ/光枝明彦/モト冬樹/正司花江/初風諄
北村岳子/土屋シオン/tohko

〈中尾ミエプロフィル〉
 1962年、「可愛いベイビー」でデビュー。その大ヒットで、一躍スターとなる。中尾ミエを中心に、伊東ゆかり、園まりと共に「三人娘」としてトリオを組み、一時代を築く。デビュー当時から、歌だけでなく映画やテレビドラマでも活躍し、1963年には歌手では初めて映画製作者協会から新人賞を受賞している。表現力の豊かさ、洒落たおしゃべりには定評がある。森山良子との絶妙なコンビで行っていたトーク番組「ミエと良子のおしゃべり泥棒」などでは、その魅力を発揮し長い間人気を博していた。バラエティーでも大いに活躍しており、中尾ミエのキャパシティーの広さを物語っている。
中尾ミエ公式ホームページ

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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