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平間壮一インタビュー/下

『Indigo Tomato』、どう向き合って何を伝えたいか?を持っていたい

橘涼香 演劇ライター


平間壮一インタビュー/上

この作品で数字が好きになった。嫌いだったけど(笑)

──円周率を暗唱していくところは、もう観ていても気が遠くなりそうでしたが、しかもあれで終わりではないんですよね?

 本当に大変なんですが、でもその終わらないっていうところが良いんじゃないかなって。ただちゃんと言いたい、という意識はすごくありましたね。数字が好きだし。と言いますか、この作品で数字が好きになったんです。嫌いだったけど!(笑)

──数字お嫌いだったんですか?

 大嫌いでした!(笑)。でもオープニングから数字をものとして捉えているタカシ君がすごく可愛いなと思って、「太った6」とかね。いや、現実にないのはわかりますよ! 夜になったら人形が動いているとかは(笑)。元々大人になったら誰しも夢を見るのが難しくなるし、僕も気持ちがモヤモヤしていた時期には特に夢が見られなくなっていたんです。僕の夢ってなんだったんだろう?くらいでした。でも、日常の中でも色々想像して生活していると、夢を見られるようになるし、数字が動いている、と想像していくうちにどんどん数字が好きになっていって、自分から数字を身近に置くようになりました。今はまたちょっと数字は傍に置いていないので(笑)、再演に当たってまた引き連れてこなければ!と思っています。

今の自分が台本を読むことで自然な変化はある

拡大平間壮一=岩田えり 撮影

──その再演決定の報せを聞いた時には、まずいかがでしたか?

 単純にすごく嬉しかったですが、皆さんが再演をとても喜んでくれているということは、初演よりも確実に期待値のハードルが上がっている訳ですから、そこをなんとしても乗り越えていかなければ! という思いにすぐ変わりました。特に再演は一度やっているものだから、少しは余裕をもってできるよね? というような気持ちで集まる人たちは、ここには一人もいない! というカンパニーなので。再演だからこそ、新たに創り直す、初演よりもより良いものを創ろう!という気持ちが当たり前にある人たちばかりですから、皆でしっかりと一から創っていく稽古場になると思います。

──再演に当たって、こうしていきたいというようなものは?

 敢えて変えようとは全く思っていないのですが、一年ちょっと時間が経って、様々な経験もさせてもらい、30歳手前になった今の僕が『Indigo Tomato』の台本を読んだ時に、感じたことをやっていけば自然に変化はあると思っています。それをカンパニーの皆が敏感に感じとってくださると思いますし、皆もこの一年半で必ず獲得しているものがあります。聖ちゃん(安藤聖)などはこの期間にお子さんが成長している姿を見てきているから、そこから感じるものも絶対に変わっていると思いますし、弟のマモル役には今回新たに長江峻行君が入りますが、剣幸さん、彩吹真央さんはじめ周りの先輩方を観て、必死に食らいついてくると思うので、良いバランスになるんじゃないかなと。皆さんカッコ良いんですよ。できないからと言って見捨てることは絶対にしないし、だからと言って「こうするんだよ」と過度に口を挟むこともしない。基本的に今いるその子を認めて、その子に合わせて導いてくれる人たちなんです。だから初参加の長江君の頑張りと、マモルの「俺だって頑張ってるんだ!」という必死さとがリンクして本番に行けば、すごく良いだろうと思っています。

◆公演情報◆
Coloring Musical 『Indigo Tomato』
福島〈プレビュー〉:11月10日(日)~11日(月) いわきアリオス小劇場
札幌:11月14日(木)~15日(金) 札幌教育文化会館大ホール
大阪:11月19日(火)~21日(木) 東大阪市文化創造館小ホール
福岡:11月26日(火) 福岡ももちパレスホール
石川:11月29日(金) 北國新聞赤羽ホール
東京:12月4日(水)~10日(火) 東京グローブ座
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出:小林 香
音楽:堀 倉彰
[出演]
平間壮一
長江崚行/大山真志・川久保拓司(Wキャスト)/安藤 聖
剣 幸・彩吹真央(Wキャスト)

〈平間壮一プロフィル〉
 2007年に『FROGS』で初舞台を踏み、以降多くの舞台で活躍。主な舞台出演作に、『ドン・ジュアン』、『黒白珠』、『ロミオ&ジュリエット』、『ゴースト』、『Indigo Tomato』、「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月<上弦の月>」、地球ゴージャスプロデュース公演『The Love Bugs』、『RENT』など。2020年3月に、ミュージカル「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~」、6月には、ミュージカル『ヘアスプレー』への出演が決まっている。
平間壮一オフィシャルサイト

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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