2019年10月16日
高橋大輔さんがアイスダンスに転向するという。ブラボー。絶対、合ってる。だって高橋さん、色っぽいもん。2022年の北京五輪を狙うという。やったー。絶対、行ける。メダルだって狙える。だって色っぽいもん。
というわけで、彼の色っぽさについて、あの色気はどこから来て、どこへ行こうとしているのか。というような話を書きたいのだが、これがなかなか難しい。その件について、最初に書いたのは2014年。ソチ五輪が6位で終わり、直後の世界選手権を欠場したタイミングでここに書いた。
「大輔君」という三人称で、色っぽい、色っぽいと連呼する文章を提出したところ、編集者から「なぜ色っぽいと感じるのか、その理由も書いてほしい」と言われ、戸惑った。彼は色っぽい。それは確かだが、なぜそう感じるのかと考えたことがなかった。
困った末に見つけたのが、「ドヤ顔」という言葉だった。2010年バンクーバー五輪で銅メダルをとったフリー「道」の演技。緩急をつけたその滑りの中、要所要所で見せた自信に満ちあふれた表情を「ドヤ顔」と位置付け、「根拠のある自信を見せつけられて、してやられた」と「色っぽい」と感じる我が心を表現した。
今にして思えば、わかるようなわからないような分析だった。「大輔君」などと書いてしまうことも含め、若気の至りと言うべき文章だった。私はまだアラフィフで、引退した時、彼はまだ28歳になったばかりだった。33歳になった彼の今の姿を見れば、「大輔君」などと書くことはできない。だって、覚悟を決めた1人の大人なのだ。「君付け」は失礼過ぎる。
さかのぼること1年前、高橋さんは現役復帰を表明した。その時も別のところで彼の色っぽさについて書いた。関ジャニ∞の錦戸亮さんと顔の方向が似ている、どちらも「困った系ハンサム」だというところから分析をした。
9月末でジャニーズ事務所を退所した錦戸さん。己というものがある人なのだろう。俳優としては、少し頼りない弱気な人物を多く演じてきた。そういう彼の魅力を支えているのが、困った系ハンサム顔。高橋さんも同様だ、という分析をした。
前提として頭に描いていたのが、高橋さんが現役引退後に見せた表情だった。ニュースキャスターだったりダンスの舞台だったり、新たな仕事での表情なのだが、いつもちょっと困ったような顔をしていた。だから、錦戸さんと同じ困った系ハンサム。基本の顔立ちは現役時代もそれだった。が、滑り出したら一転、自信にあふれる強気な顔に。その落差が「色気」。そんなことを書いた。
それから1年、このほどの転向表明を受け、またも彼の色気について書いている。これで3度目だ。「三度目の正直」という諺もある。最近の分析結果をビシッと発表したい。
高橋大輔という人は、全然エロくない。だから、色っぽい。
これだ。認識してしまえば、別に大したことではない。むしろ、とっくにわかっていたことだ。だが、言語化できた。うれしい。高橋さんは、エロくないから色っぽいんだ。
きっかけは4月、高橋さんが出演した「徹子の部屋」(テレビ朝日系)だった。見終わってすっきりした。1人の大人としての高橋さんをじっくり見て、いろいろなことがわかった。最大の成果が「彼はエロくない」という気づき。そこに至る道として、彼の優しさと冷静な自己分析力を知った。優しい人であろうことは、前から気づいていた。それを裏付けるエピソードも知っていたし、「困った系ハンサム」という顔立ちこそ優しさの証明だ。だが、自己分析力は新鮮だった。なので、まずその話から。
後輩の活躍をどう見ていたかを尋ねられ、高橋さんはこう答えた。「スケートの世界がどんどん変わっていった時、それを引っ張る選手が日本の、それも男子から出るなんて喜びでしたし、もう違う世界だなと感じました。羽生(結弦)君、宇野(昌磨)君は別次元だな、勝てないな、と」。だけど「少しでも(近づいて)いけるように頑張る」と、復帰時の思いを語った。それも納得なのだが、その後の言葉に打たれた。
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