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私はなぜ文化庁委員を辞めたのか【上】

あいちトリエンナーレへの補助金不交付は問題だらけだ

野田邦弘 鳥取大学特命教授(文化政策、創造都市論)

補助金不交付に至るまで

 ここで、文化資源活用推進事業補助金の不交付決定に至る経緯を時系列に沿って確認しておく。

 4月 4日
 審査委員会で「あいちトリエンナーレ」を含む26件を採択

 7月31日
 朝日新聞が「不自由展」に「平和の少女像」などが展示されると報道

あいちトリエンナーレ拡大「平和の少女像」。あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」にも展示された

 8月 1日
 あいちトリエンナーレ開幕
 「不自由展」について、松井一郎・大阪市長が「にわかに信じがたい!河村市長に確かめてみよう」とツイート
 愛知県に寄せられた「不自由展」への問い合わせ705件

8月 2日
 河村たかし・名古屋市長が「不自由展」を視察。「平和の少女像」に「どう考えても日本人の、国民の心を踏みにじるもの」と発言。大村秀章・愛知県知事に像の展示中止と撤去を要請

 菅官房長官が記者会見で「あいちトリエンナーレは文化庁の補助事業として採択されている。審査の時点では、具体的な展示内容の記載はなかったことから、補助金の交付決定では事実関係を確認、精査したうえで適切に対応していきたい」と発言

 芸術監督・津田大介氏が記者会見で「行政が展覧会の内容について隅から隅まで口を出し、行政が認められない表現は展示できないということが仕組み化されるのであれば、それは憲法21条で禁止された『検閲』に当たる」と主張。いっぽうで展示変更の可能性についても言及

 愛知県に寄せられた「不自由展」への問い合わせ1180件

 8月 3日
 大村知事および津田監督が記者会見で「不自由展」中止を発表
 愛知県に寄せられた「不自由展」への問い合わせ1075件

 8月 5日
 あいちトリエンナーレ出展作家イム・ミヌクとパク・チャンキョンが自身の作品の展示中止を申し出る
 以降出展作家の展示中止が続き、その数は10を超す

 8月16日
 第1回「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」開催

 9月17日
 第2回「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」開催 

あいちトリエンナーレ拡大愛知県の「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」の会合=2019年9月17日午後、愛知県庁

 9月25日
 第3回「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」開催
 中間報告を公表。その中で「条件が整い次第、『不自由展』を速やかに再開すべきである」と提言

 9月26日
 文化庁補助金7829万円を全額不交付とする決定
 
大村知事は「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る意向を示す

 9月30日
 補助金審査委員へ不交付決定の報告メール送付

10月 2日
 野田(筆者)、文化資源活用推進事業審査委員を辞任したいと文化庁に電話で連絡

10月 8日
 「不自由展」再開。これにあわせて全作品展示再開

10月14日
 あいちトリエンナーレ終了

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筆者

野田邦弘

野田邦弘(のだ・くにひろ) 鳥取大学特命教授(文化政策、創造都市論)

2004年まで横浜市職員として「クリエイティブシティ・ヨコハマ」の策定や「横浜トリエンナーレ2005」など文化行政に携わる。主な著書に『文化政策の展開』、『創造都市横浜の戦略』、『文化行政−はじまり・いま・みらい』、『イベント創造の時代~自治体と市民によるアートマネジメント』、共著に『地域学入門』、『創造都市への展望』など。 近く『アートがひらく地域のこれから―クリエイティビティを生かす社会へ』(共著)が刊行される。鳥取の中心市街地でアートプロジェクト「ホスピテイル」に取り組む。