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延期された英語入試、再検討へ四つの提言

大学入試への民間試験導入の問題点を指摘してきた記者が「次の一手」を考える

刀祢館正明 朝日新聞記者

英語民間試験が延期になった今、やるべきことは

英語入試延期拡大英語民間試験を受ける高校生らを特定する「共通ID」の申込書。11月1日に申し込み受け付けが始まる予定だったが、文部科学省が延期を発表したため、大学入試センターは対応を検討する

 大学入試への英語民間試験の導入延期が決まった。

 11月1日、萩生田光一文部科学大臣が会見で発表した。

 「見送り」を伝える朝日新聞デジタルの記事は、「制度の欠陥噴出」という見出しをつけている。その通りだと思う。こんな問題だらけの試験がこのまま強行されなくてよかった。

英語入試延期拡大大学の英語入試への民間試験導入を見送ると発表した萩生田光一文部科学相=2019年11月1日午前9時56分、東京・霞が関、山本裕之撮影

 だが、中止ではない。延期だ。

 大臣は会見で2024年度の実施を目指すと語った。新たに検討会議を設け、そこで1年かけて結論を出すという。

 下手な結論を出されてはたまらない。いま考えるべきことを何点か、急いで書いておきたい。

 まず、英語民間試験を受けるはずだった現在の高校2年生への丁寧な対応だ。

 実際の受験は来年4月から始まる予定だった。そのわずか5カ月前に延期が決まるなど、とんでもないことだ。安堵したり喜んだりしている生徒もいるだろうが、動揺している生徒も多いはずだ。そうした生徒と保護者の不安を解消できるよう、そして高校の先生たちが生徒たちを安心させられるよう、文科省はきちんと情報を出してほしい。

 そして文科省の官僚の皆さんへ望みたい。

 どうかハラをくくってほしい。「なんだこれは」と立腹したり嘆いたりしているかもしれない。行政の常識では、ほとんどありえないことが起きた。長い間議論し、決定し、告知し、準備を進めてきた施策が、まさかの延期になったのだから。「もう、やってられない」とモラルダウンが起きるかもしれない。でも、教育に携わる皆さんは、そういう訳にはいかない。

 お願いがある。

 「次の策」を学者に考えさせたり言わせたりするだけでなく、行政官として、当事者意識を持って、こうすれば受験生のためになる、これなら大丈夫、公平で公正で不安や不満を与えない、という案を作ってほしい。作って広く示してほしい。それが文科省の、そして大学入試改革への、信頼回復の第一歩のはずだ。

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筆者

刀祢館正明

刀祢館正明(とねだち・まさあき) 朝日新聞記者

関西生まれの関東育ち。1982年朝日新聞入社。整理部記者、朝日ジャーナル記者、アエラ記者、学芸部(現・文化くらし報道部)の記者と次長、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)客員研究員、早稲田大学非常勤講師、オピニオン編集部編集委員などを経て、現在は夕刊企画班のシニアスタッフ。2013年秋から2019年春まで夕刊で「英語をたどって」を連載した。担当した記事が本になったものに『塩の道を行く』『奔流中国』『3.11後 ニッポンの論点』など。英語は嫌いではないが得意でもない。

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