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劇団スタジオライフ 2020年1月上演

舞台『はみだしっ子~White Labyrinths~』制作発表記者会見レポート

劇団スタジオライフ 提供


 男優劇団スタジオライフが三原順原作の『はみだしっ子〜White Labyrinths〜』を舞台化する。『はみだしっ子』は1975年から1981年まで「花とゆめ」に連載され、熱狂的なブームを巻き起こした傑作漫画。親に見捨てられ、この世の「はみだしっ子」となったグレアム、アンジー、マックス、サーニンという4⼈の少年たちがある時は温かく、ある時はしたたかに生きていく様を描いた作品だ。

 2017年に初めてスタジオライフが上演した際には「奇跡の舞台化」と言われ、多くの漫画ファンを劇場へと向かわせた。2018年の続編上演に続き、2020年が3度目の舞台化となる。2020年に三原は没後25年を迎える。それに合わせて2020年3⽉19日には豪華画集『三原順 All Color Works』の刊行が決定しており、再び三原作品への注目が集まる中での舞台化となった。

 今回は4人の少年たちの人生の分岐点ともいえる大事件が起こる『山の上に吹く風は』のパートを上演する。原作ファンからも熱狂的な支持を得ていて、いわば『はみだしっ子』の中核をなす部分をどのように上演するのか、期待が高まる。公演に先駆けて10月29日、都内にて制作発表記者会見が行われた。

拡大舞台『はみだしっ子~White Labyrinths~』(C)三原 順/白泉社

 最初に劇団代表の藤原啓児による挨拶。「3回目の舞台化。初舞台化のときから上演するたびにドキドキしたが、三原先生の読者の皆さんに支えられた舞台化でした」と作品に寄せる熱い思いを語った。


 続いて、漫画家・芳崎せいむのトークが行われた。芳崎は『金魚屋古書店』(第16回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品)、『アブラカダブラ〜猟奇犯罪特捜室〜』原作/リチャード・ウー(第1回さいとう・たかを賞受賞)などで知られるが、代表作『金魚屋古書店』に『はみだしっ子』を登場させるほどの三原作品の大ファンでもある。今回、舞台化される『山の上に吹く風は』について直筆のイラストを見せながらトークを繰り広げた。芳崎は『はみだしっ子』花とゆめコミックス全13巻のうち、『山の上に吹く風は』がターニングポイントとなっていると明かす。

 1〜3巻までは「世間から追い出され居場所がなくなった4人の少年が一つのシェルターを作った。当時の一般的な少女漫画では、主人公を取り巻くシェルターが描かれることが多かった。はみだしっ子は4人が疑似家族的な愛情を持って寄り添い合い、時には世間の風に触れながらも、またシェルターに戻るという物語だった」と語る。

 4巻に描かれる『山の上に吹く風は』のエピソードは「シェルターが破壊される展開。雪に閉ざされた山の上で4人の周りを大人たちが取り囲む密室劇で、いわば山の上が〝小さい世間〟であり〝世界の縮図〟になっているんです。タイトルの「山の上に吹く風」は〝世間の風〟を意味している。未熟なままシェルターを失う様が描かれたのは、当時の少女漫画では初めてのことだった。残酷かつドラマチックな展開で、三原先生は少女漫画の可能性を広げたんです」と漫画家ならではの視点で、『山の上に吹く風は』を分析した。

 また、「三原先生の読者の方たちから〝『山の上に吹く風は』までは舞台化してほしい〟とアプローチがあったと聞いている。さすが、三原先生の読者は知能犯と言うか(笑)、ここまで舞台化したらその後を上演しないでは終わらせられないことをご存じなんですね」と笑顔を見せた。

 さらに『山の上に吹く風は』に続く話として「普通だったら、シェルターを再構築して〝めでたし、めでたし〟で終わるところが、三原先生はそのようなことはなさらない。〝世間の人たち〟というのは完全に〝まっとうな人〟というわけではなくて、〝世間の人たち〟も実は誰もがどこかはみ出した部分を持っているんだということを感じる展開になると思います。本格的な人間ドラマが始まる、多層的な物語の一片が『山の上に吹く風は』なのです」と語ってトークが締めくくられた。

 当日、司会を務めた曽世海司から「劇団員たちは芳崎先生の話をお聞きして、目からうろこが落ちることがたくさんあったと思う」と感想が述べられたが、出演者たちにとっても貴重なトークの披露となった。

 芳崎は質疑応答でスタジオライフへの期待を聞かれ「幼稚園の頃から芝居をやっていて、スタジオライフを拝見すると“自分もやりたい”という気持ちになります(笑)」と笑いを誘った。また、三原作品の魅力について「カテゴリーには収まらないのが三原作品。三原先生がやむにやまれず、描かずにはいられなかった作品の力強さ、繊細さに惹かれます」と語った。

拡大舞台『はみだしっ子~White Labyrinths~』脚本・演出の倉田 淳

 続いて、舞台『はみだしっ子〜White Labyrinths〜』の制作発表が行われた。最初に登壇したのは、脚本・演出の倉田淳。ステージに並んだ3枚の公演ポスターを見て「ここまでやらせていただいたんだな」と、感慨深い面持ちを見せた。

「『山の上に吹く風は』は、4人にとっては大きな分岐点。自分たちのシェルター、彼らが言うところの〝サンクチュアリ〟にひびが入って、世間と対峙し、自分たちを見つめ直すというハードな話です。自分としても心して向かい合わなければいけないと覚悟を新たにしました。(スタジオライフで上演するにあたって)『山の上に吹く風は』まではたどり着きたいと思っていました。でも、この先を舞台化するのは、ちょっと時間をおかないとできないかもしれません」と決意を語った。

 そして、出演キャストが登壇し、意気込みを述べた。まずは客演の二人から。

 八島諒(客演・マックス役)、「このような会見は初めてで心臓の音が聞こえるくらいに緊張しています。40年以上も愛されている作品。3作目に出演させていただき、プレッシャーはありますがそれをはねのけて、妥協なく一生懸命取り組んでいきたい」。田中彪(客演・シドニー役)、「僕は今年で28ですが、僕が生まれる前からの作品に出演させていただけることに感謝しております。お客様に愛される作品になるようにしたい」。

 続いてスタジオライフ劇団員が意欲を語る。全員が続投キャストとなるTBCチームの松本慎也(アンジー役)、「3作目の今回は文字通り山場を迎える。関係性を大切に演じたい」。仲原裕之(グレアム役)、「『はみだしっ子』は向き合えば、手を差し伸べてくれる作品」。伊藤清之(マックス役)「今回が3作目、繊細な作品を丁寧に演じたい」(サーニン役千葉健玖は舞台出演中で、会見には欠席)。

 半数が新キャストとなるCAPチームの関戸博一(グレアム役・『はみだしっ子』には初出演)、「前回は客席から観劇し『ほとんど台詞を覚えていたね』というお客様の声を聞いた。今は迎えられる立場だが自分が引っ張る気持ちで頑張りたい」。宇佐見輝(アンジー役)「3度目のアンジー役。4人の関係性を大事にしたい」。澤井俊輝(サーニン役)、「新たなメンバーと心の手を握り合って演じたい」。

拡大舞台『はみだしっ子~White Labyrinths~』左から、八島諒、澤井俊輝、宇佐見輝、関戸博一、仲原裕之、松本慎也、伊藤清之、田中彪

 漫画を舞台化する「2.5次元舞台」ブームが起こるずっと以前から、漫画原作舞台を上演し続けているスタジオライフ。質疑応答でそのことについて質問された松本は「僕らは2.5次元を作っているという意識ではないんです。人間としての心情と関係性があって、そこに大きなドラマが生まれる演劇作品を、生身の人間としてみんなで向き合って作るという感覚でいます」と述べた。

 また、本作について「極限状態で社会の倫理から切り離されたはみだしっ子4人の軋轢が舞台の見どころ」と語り、「真摯に突き詰めていく劇団なので、生のリアルな感情をお客様に届けられるように。原作を知らなくても演劇作品として楽しんでいただける作品にしたいと思います」と意欲を述べた。

 劇団スタジオライフ舞台『はみだしっ子〜White Labyrinths〜』は2020年1月8日(水)〜19日(日)、新宿シアターサンモールにて上演される。(取材・文/大原 薫)

◆公演データ◆
スタジオライフ『はみだしっ子~White Labyrinths~』
原作:三原 順 「はみだしっ子」((C)三原 順/白泉社)
2020年1月8日(水)~1月19日(日) 新宿 シアターサンモール
[チケット]2019年12月1日(日)一般発売開始
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・演出:倉田 淳
[キャスト]
関戸博一、松本慎也、仲原裕之、宇佐見 輝、澤井俊輝、千葉健玖、伊藤清之
八島 諒(BACSエンターテイメント)、田中 彪 (T-gene)
船戸慎士 曽世海司 石飛幸治 吉成奨人 鈴木宏明 富岡良太 ほか
※TBCチームとCAPチームのダブルキャスト公演になります。
※関戸博一はCAPチームのみの出演となります。
※出演者は都合により変更になる場合がございます。

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