メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

無料

子どもの貧困を描いた『八月のひかり』の衝撃

言葉の向こう側にある本当の姿

堀 由紀子 編集者・KADOKAWA

問われるのは一人一人の大人の側

 「知る」とはどういうことだろう。どこまでいったら、「知っている」といえるのだろうか。

 定義された言葉はとても便利だ。言葉を使えば、雑多な事象や物事がすんなり頭に入ってきてくれる。だけどこれはとても危険なことでもあることに改めて思いいたった。言葉はある種のレッテル貼りにもつながる。ありのままの姿を見る視点を曇らせて、言葉の外側や奥に別の事象があることさえ気づかなくさせる。子どもの貧困、少子高齢化、地方の過疎化……社会に横たわるさまざまな問題を私はどれくらい知っているのだろうか。

子ども拡大子どものために大人ができることは何か

 子どもは生まれてくる家を選べない。国際労働機関(ILO)によって児童労働は明確に禁止されている。自己責任を声高に叫ぶ人もいるが、さすがに子どもに自己責任を押し付けられないだろう。成人するまで育てるのは社会を構成する大人の義務だ。自己責任を問われるとしたら、私を含めた一人一人の大人の側だ。

 この本を紹介するホームページには、赤川次郎さんや宗田理さんほか著名な小説家や書店員さんによる推薦コメントが掲載されている。「いま、わたしに出来ることは何なのか。教えてほしい」と書いている方もいる。私もそう思う。一発で解決するような処方箋はないかもしれない。自分で考えて、できることを探して、少しでも何かしていきたいと思う。

 図書館でもいい、立ち読みでもいい、一人でも多くの方に子どもの貧困のリアルをぜひ知ってもらい、いっしょに考えていけたらと思う。

*ここで紹介した本は、三省堂書店神保町本店4階で展示・販売しています。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

堀 由紀子

堀 由紀子(ほり・ゆきこ) 編集者・KADOKAWA

1975年、山梨県生まれ。1999年より角川書店で、主婦向けのテレビ誌「しってる?」、スポーツ誌「SPORT Yeah!」、都市情報誌「横浜ウォーカー」の編集に携わる。2012年より書籍編集に。担当した書籍は、柳田国男復刊シリーズ(角川ソフィア文庫)、黒田勝弘『隣国への足跡』、望月衣塑子『武器輸出と日本企業』、室井尚『文系学部解体』、柴田一成『とんでもなくおもしろい宇宙』など。ハードボイルド小説と自然科学系の本が好き。