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中村雅俊の登場と“終わらない青春”

太田省一 社会学者

中村雅俊が体現したモラトリアム

 中村雅俊の魅力は、繊細さとラフさが同居しているところにある。

 中村は、歌手としても多くのヒット曲を出した。そのきっかけとなったのが、『われら青春!』の挿入歌「ふれあい」(1974年発売)である。このデビュー曲は、オリコン週間チャートでなんと10週連続1位を記録し、レコード売り上げも100万枚を超える大ヒットになった。

 悲しみや空しさに襲われるとき、「あの人」にそばにいてもらいたいという内容の歌詞を、当時中村雅俊はアコースティックギターの弾き語りで切々と歌った。これもまた、以前ふれた野口五郎の「私鉄沿線」などと同じく、フォークの持つ繊細さを歌謡曲に取り込んで成功したケースと言えるだろう。

 ただそうした一方で、中村雅俊には昔懐かしい「バンカラ」を思い起こさせるラフさの魅力があった。

 そのイメージを決定づけたのが、1975年から1976年にかけて放送された日本テレビ『俺たちの旅』である。

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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)、『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)など。最新刊に『ニッポン男性アイドル史――一九六〇-二〇一〇年代』(近刊、青弓社)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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