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炭坑節はフォークダンスである!?

 さらに推論を大胆に進めよう。ここまで次のように論を進めてきた。

拡大「炭鉱節まつり」のフィナーレを飾る、竪坑櫓を背景に輪を広げた炭坑節総踊り=2018年11月4日、福岡県田川市

 炭坑節が国民歌謡となり盆踊りの定番となるのは戦後のことだが、実はその陰の推進役はGHQではなかったか。すなわち、戦後日本の復興には石炭増産は不可欠だが、石炭業界だけを依怙贔屓すると思われては国策の遂行はおぼつかない。炭鉱はいかに大事で素晴らしいかを上手にプロパガンダして国民を味方につけなければならない。そこでGHQは辛い職場の炭鉱生まれなのにやけに明るい炭坑節に目をつけた。これをNHKから全国都々浦々に毎週末に流し、芸者歌手たちにレコードの吹き込みを競わせた、と。

 しかし、それだけではまだ足りない。やはり身体で覚えさえるのが肝要だと。かくして炭坑節は盆踊りの定番となった・・・。それでは、この仮説の最終推論部分を裏付けていくとしよう。

 戦前までは座敷踊りでしかなかった炭坑節が、なぜ野外で踊られるようになったのか。その答えのヒントがCoal Minor's Dance1番の冒頭部分にある。もう一度、読み直して

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筆者

前田和男

前田和男(まえだ・かずお) 翻訳家・ノンフィクション作家

1947年生まれ。東京大学農学部卒。翻訳家・ノンフィクション作家。著作に『選挙参謀』(太田出版)『民主党政権への伏流』(ポット出版)『男はなぜ化粧をしたがるのか』(集英社新書)『足元の革命』(新潮新書)、訳書にI・ベルイマン『ある結婚の風景』(ヘラルド出版)T・イーグルトン『悪とはなにか』(ビジネス社)など多数。路上観察学会事務局をつとめる。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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