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国民投票にかけるべきは「集団的自衛権」である

憲法改正よりも喫緊の課題がある

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

「安保法制」に関する国民投票が不可欠である

 安倍政権は今後、集団的自衛権の全面的な行使容認につながるという本質を隠したまま、改憲発議・国民投票を行おうとするであろうが、その前に、そもそも集団的自衛権の行使容認それ自体を許すのかどうかが、国民投票によって判断されなければならない。

 日々の国際ニュースに接していればわかるが、世界各国で、主要政策をめぐって国民投票がしばしば行われている。だが日本は、国民投票によって主要政策の適否を判断するという制度がない、世界的に見てもめずらしい国である。

 本来、民主制を徹底させれば直接民主制に行きつく。民主制の核心をルソーは、国民peupleの平等と自由とを同時に実現することと解するが、そのためには、国民自らが一般意思(総意)の形成および立法に直接関与しなければならない(ルソー『社会契約論』岩波文庫、29-30、133頁)。国家の規模が大きければ、それは困難であることをルソー自身も認めるが(同前136頁、211頁訳注)、しかし直接民主制的な制度を可能なかぎり取り入れる努力は、近代民主国家にとって不可欠である。

英国のEU離脱をめぐる2度目の国民投票を求めてデモ行進する人たち2019年3月23日ロンドン拡大英国のEU離脱をめぐる2度目の国民投票を求めてデモ行進するロンドン市民たち=2019年3月

 なるほど日本にも「国民投票法」があるが、それが想定しているのは憲法改正に関する国民投票にすぎない。だが、改憲にいたる以前に、改憲に匹敵する大転換が政治的に図られる場合には、それは国民投票にかけられるべきであろう。

 問題は「安保法制」である(それ以前の関連諸法も問われるべきだが、いまはこれに限定する)。そこでの焦点は、

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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