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フランスで薬物使用俳優の作品排除はあり得ない

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

薬物でたびたび逮捕された有名俳優

 マジメルは1974年、パリ生まれ。13歳の時にオーディションに合格し、エティエンヌ・シャティリエ監督の『人生は長く静かな河』に出演した。映画は動員400万人を超える大ヒットを記録し、仏映画賞のセザール賞4部門を受賞。彼は主役の少年モモ役で、一躍国民的な人気者を博す。

 その後も「子役は大成しない」というジンクスを打ち破りながら、順調にキャリアを重ねた。アンドレ・テシネ、ブノワ・ジャコ、クロード・シャブロル、オリヴィエ・ダアン、ジャン・ベッケルらの作品に出演。2001年には俳優として最高の名誉と言えるカンヌ国際映画祭主演男優賞を、ミヒャエル・ハネケ監督の『ピアニスト』で受賞した。

 私生活では、ジョルジュ・サンドとミュッセの情熱的な愛の彷徨を描くディアーヌ・キュリス監督『年下のひと』で共演した女優ジュリエット・ビノシュとの年の差婚(10歳年上)が話題になったが、2003年には関係を解消している。

『Une fille facile(尻軽娘)』(C) Julian TORRES Les Films Velve拡大ブノワ・マジメルが出演した『Une fille facile(尻軽娘)』 (C) Julian TORRES Les Films Velve

 そして現在に至るまで、彼はブランク知らずの活躍を続けるが、実は近年、ドラッグ絡みで続けざまに逮捕されている。

 まずは2014年2月、運転中の薬物使用で捕まった。この時は1200ユーロ(約14万円)の罰金刑に処されている。しかし、すぐに同年夏には、エマニュエル・ベルコ監督の『太陽のめざめ』にしっかり出演。本作はカンヌ映画祭の開幕作品に選ばれ、マジメル本人も仏映画賞のセザール賞助演男優賞を獲得した。「不祥事を起こしたのだから本人も作品も自粛」という雰囲気など一切なかった。ちなみにこの時の彼の役は、不良少年を更生させようと奮闘する教育係。「本当に教育係が必要なのは誰よ?」とツッコミどころは満載だろう。

 続いて2016年3月だが、今度は相当派手にやらかした。現場は

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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

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