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トップに学んだ最後まで諦めない心/瀬央ゆりあ

【宝塚~朗らかに~】熱い男 ワイルドな男を演じてみたい

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ・11月28日紙面(東京本社発行版)より】

拡大大きな瞳の目力が特徴的な星組スター瀬央ゆりあ(撮影・前田充)
 星組の人気スター瀬央ゆりあが28日、兵庫・宝塚バウホールで、2度目の単独主演作の初日を迎えた。夜叉ケ池伝説と浦島太郎をあわせた「音楽奇譚『龍の宮(たつのみや)物語』」で、幻想的な世界観の物語。持ち味の目ヂカラは、心の奥から演技する意識で習得。前トップ紅ゆずるから「あきらめない心」を学び、同期の礼真琴がトップに立った新生星組を支えていく。公演は12月9日まで。

 11年目。男役10年を過ぎてすぐ、得た2度目のバウ単独主演。「まず、私でいいのですか? と(笑い)。でも、ありがたい話」と感謝し、色紙に求めた言葉は「清」と書いた。瀬央の周りには、清らかな空気が漂う。同時に主人公の名前でもある。舞台は明治中期、書生・伊予部清彦役。百物語で夜叉ケ池に興味を持ち、度胸試しへ。不思議な世界へ引き込まれる。

 「台本を『本』として読んで、世界観を自分の中に入れました」。集中すると時間を忘れるタイプで「30分のつもりが2時間過ぎていた」こともあると笑う。

 星組は前作で紅ゆずる、綺咲愛里のコンビが退団。同期の礼が新トップに就き、相手役に舞空瞳を迎えた。「全員で(の本拠地作)はまだですが、成長した自分でいられたら」。礼は宝塚音楽学校時代から首席。成績下位だった瀬央は「予科生の時からずっと一緒」と言い、同じ星組育ち。就任をわが事のように喜ぶ。

 「もう、ほんっと! うれしかったです。おめでとうっ! って気持ちでいっぱいでした」。瀬央は、7年目までが出演する新人公演で、最終年に初主役を得た。地道に力を蓄え、貴公子然とした立ち姿から高貴な役も増えてきた。

 「心の奥から動くといいますか。(高貴な役は、動きや)セリフが少ない分、いかに立ち姿だけで空気感を作るかを考えた。何倍も心で思っていないと(高貴な雰囲気は)出せない」

 与えられた位置で、個性を磨いてきた。前トップ紅も、下位入団からトップまでたどり着いた。「紅さんが、何度もおっしゃっていたのは『あきらめない心』。個人的に、すごくガーンと響きました」。紅は自身の長所を「あきらめが悪いところ」と公言していた。

 「作品を作る最後のひと押しも、妥協したら終わり。すべてにおいて、最後まであきらめないことを、紅さんから学習しました」

 転機は5年目だった14年幕開け作の「眠らない男・ナポレオン」。礼が主演した新人公演で、紅が本役の役柄を得た。「まさか、そんな役を…。自分の中でガタガタガタガタと、音を立てて変わりました」。本拠地作以外はオフが多く、1年が長く感じた生活も急変。組での立場も強まるばかり。いまや、礼を近くで支える「重み」も感じる。

 「支える-って? それぞれが輝いてこそ、すてきな組になるのではないかと。自分がいかに技術を向上して、舞台上で輝いていられるか。それが結果、支えることになると思う」

 来年で、入団から干支(えと)が1周。「ガンッと濃い11年」と振り返る。今年の目標は「冒険心を忘れない」だった。来年は-。

 「2020年もチャレンジ精神を忘れず、冒険していきたい。童心を忘れず、アンテナをはって、心を動かして、敏感に生きていきたい。来年は熱い男、ワイルドな男も演じてみたい」

 イメージと違う役にも挑戦したいという。特徴的な大きな瞳。輝きの強さは増すばかりだ。

◆音楽奇譚「龍の宮(たつのみや)物語」(作・演出=指田珠子) 夜叉ケ池伝説と浦島太郎、青年と龍神の姫による物語。夜叉ケ池には、かつて干ばつ続きで、村の長者が自らの娘をいけにえとして龍神にささげると、雨が降ったという逸話があった。明治中期、実業家島村家の書生・伊予部清彦(瀬央ゆりあ)は、仲間との百物語で夜叉ケ池の話を聞く。清彦は度胸試しに単身で池へ向かい、山賊に襲われている娘に出くわす。助けた娘は、お礼に清彦を池の奥底にある龍神の城「龍の宮」へ連れて行く。その娘は、龍神の姫・玉姫(有沙瞳)だった。

☆瀬央(せお)ゆりあ 6月15日、広島市生まれ。09年入団。すでにトップ娘役3人を輩出し、礼と、花組新トップ柚香光も同期の黄金世代95期。100周年幕開け作「眠らない男・ナポレオン」(14年)新人公演で、主要キャスト。15年「ガイズ&ドールズ」で新人初主演。18年10月「デビュタント」でバウ単独初主演。身長172センチ。愛称「せおっち」「なおみ」。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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