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フランスで作品が拒否される「重い罪」とは?

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

反ユダヤ主義発言は完全アウト

 フランスの場合は人種や宗教的な差別など、憎悪や暴力を煽る言動にはしっかり厳しい目が注がれる。例えば、フランスにはデュードネというカメルーン系フランス人のユーモリストがいる。政治風刺などで頭角を現し、コメディ『ディディエ』『ミッション・クレオパトラ』など人気映画に出演するなど、幅広い活躍をしていた。

デュードネ・エムバラエムバラ氏(仏・コメディアン/顔写真)=ヤニック・ブイイ氏撮影 2002年拡大反ユダヤの言動で物議を醸したデュードネ=2002年、ヤニック・ブイイ氏撮影
 しかし一方で、2000年代から言動が怪しくなる。「反シオニズム党」なる政党を立ち上げ欧州議会選に出馬したり、自身のワンマンショーにホロコースト否認論者を呼び顕彰するなど行動が過激化。悪質な反ユダヤ主義発言を繰り返しては、たびたび逮捕されるようになった。

 2013年には、仏人サッカー選手ニコラ・アネルカが、試合中にナチ式敬礼を思わせる「クネル」のジェスチャーをして5試合の出場停止と罰金処分を受けたが、この反ユダヤ主義ジェスチャーを流行らせたのは、アネルカの友人デュードネだった。デュードネの講演や演劇は「表現の自由」の枠内でおさまるものでないとされ、作品の上演中止に追い込まれている。

 また、反ユダヤ主義に関する騒動と言えば、2011年のカンヌ国際映画祭で起きた鬼才ラース・フォン・トリアー監督の言動も記憶に新しい。彼は映画『メランコリア』の記者会見中に「ヒトラーが理解できる」などと発言し、大騒動に発展した。ただし、彼の発言は

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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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