原田真二デビューの衝撃

高い音楽性を持ちつつも、アイドル的人気もあった原田真二=1980年
1958年生まれの原田真二のデビューは、華々しくかつ衝撃的なものだった。1977年10月に「てぃーんず ぶるーす」でデビューすると、「キャンディ」「シャドー・ボクサー」といきなり3か月連続でシングルをリリース、その3曲がオリコン週間チャートのベスト20位内に同時ランクインするという史上初の快挙を成し遂げた。
彼の所属レコード会社はフォーライフ・レコード。この会社は、1975年にフォーク歌手の吉田拓郎、井上陽水、小室等、泉谷しげるが主体となって設立された。
当時は歌手、それもフォーク歌手が自らレコード会社を作るというのは革命的なことだった。なぜなら、従来レコード会社は大きな企業の主導で経営されるものであり、歌手はあくまで契約してもらう側だったからである。しかもフォーライフ・レコードは、誰もが認める人気アーティストである拓郎や陽水、そこに大物の小室、泉谷が加わり、設立当初にはすでに既存の大手レコード会社に対抗しうる勢力であったため、そのインパクトは大きかった。フォーライフ・レコードの設立は、芸能史における“事件”だった。
しかし、船出はしてみたものの経営は軌道に乗らなかった。とりわけ新しい音楽の波を起こそうとしたにもかかわらず、有望な新人アーティストの発掘はままならなかった。
そこに彗星のごとく現れたのが、当時広島の高校2年生だった原田真二である。
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