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歌舞伎界の新プリンス尾上右近が現代劇に挑戦/下

ドラマのスピンオフオリジナル舞台『この声をきみに~もう一つの物語~』上演

大原薫 演劇ライター


歌舞伎界の新プリンス尾上右近が現代劇に挑戦/上

音の色を感じ取る敏感な世界の中で育ってきた

――この作品では朗読サークルが舞台になっています。右近さんは2018年1月に七代目清元栄寿太夫を襲名されていらっしゃいます。語りのプロである右近さんが朗読を学びに行く役を演じるという設定も面白いですね。

 気持ちをそのまま表現するだけでも十分美しいものですが、そこに音色や声のぬくもりを加えることに特化している古典音楽が清元なんです。台詞を言うように歌う感覚で成立している音楽ですね。清元には恋愛物が多いんですが、二人の恋物語の展開を、音色として聞き心地よく、耳障りよく、そして艶っぽく聞かせていく。その音の「色」……実際に色として見えるわけではないけれど、音を色のように感じ取る敏感な世界の中で育ってきたので、確かに「朗読を学ぶ」というのと近い環境にいたかもしれません。

――初めのうちはたどたどしく朗読する様子を演じることになると思うのですが、そのあたりはいかがですか?

 ああ、そうですね。でも、僕はわりと音読が苦手で(笑)。そこは努力をしないといけないですね。

――音読が苦手とは意外です。どうしてでしょうか?

 それがわからないんですよ。どうしてなのかがわかれば自分でも克服できると思うんですが、わからないから毎回四苦八苦します。

拡大尾上右近=宮川舞子 撮影

――では、朗読劇の『ラヴ・レターズ』に出演されたときはどうなさったのでしょう。

 大変でしたよ。でも、努力の話はあまりしたくないですね(笑)。

――なるほど(笑)。今回は佐津川愛美さん、中島歩さん、小野武彦さんなど多彩なキャストと共演されます。

 皆さん、ご一緒するのは初めてです。これもまたご縁だと思うんですよ。たくさんの俳優がいらっしゃるし、僕以外にも歌舞伎役者がいる中で僕がこの作品に出させていただく。この巡り合わせはきっとこれからの僕の人生への何かメッセージになると受け止めています。コミュニケーションがテーマになる作品だと思うのでそのテーマに沿って、まず役者同士のコミュニケーションを大事にしていきたいなと思いますね。歌舞伎は(学校でたとえると)いつも同じクラスのメンバーと一緒にやっていますが、俳優という広い世界では何十もクラスがある。その中で「今回はこのクラスで」とクラス分けを決められたようなものなので、同じクラス同士、リスペクトしあいながら多くのことを共有して、コミュニケーションをあたたかく保ちたいなと思いますね。

――まさに一期一会ですね。

 そうなんです。約1か月の期間でコミュニケーションを取りながら舞台を創り上げるわけなので、1か月の間に密度を高めていく行程を大事にしたいなと思います。

◆公演情報◆
拡大舞台『この声をきみに~もう一つの物語~』
舞台『この声をきみに~もう一つの物語~』
大阪:2020年3月6日(金)~3月8日(日) サンケイホールブリーゼ
東京:2020年3月12日(木)~3月22日(日) 俳優座劇場
公式ホームページ
公式Twitter
[スタッフ]
脚本:大森美香
演出:岸本鮎佳(艶∞ポリス)
[出演]
尾上右近 佐津川愛美/小林健一 弘中麻紀 小林涼子 高橋健介/中島歩/小野武彦
 
〈尾上右近プロフィル〉
 1992年5月28日生まれ、東京都出身。清元宗家七代目清元延寿太夫の次男。7歳で歌舞伎座『舞鶴雪月花』の松虫で本名・岡村研佑で初舞台を踏む。近年の出演作には、スーパー歌舞伎II『ワンピース』(2018年)、『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』(2018)。現在、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』に出演中(12月25日まで)。
公式サイト
公式twitter

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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