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“映画脳”をビビッドに刺激する映像技法

 ところで後半の、邦江が紀美子と新太郎とのデートを目撃し、二人がいつのまにか恋仲になっていることを知るくだりも、息をのむほどサスペンスフルだ。その場面はおおよそ次のように展開する――<川を渡る水上バスに乗った邦江が、ふと目を上げる→邦江の視線が偶然とらえたのは、橋の上で楽しげに語りあう紀美子と新太郎の姿だ(邦江の視点からの仰角のロングショット/遠写。見事な“視線つなぎ”)。→次いでカメラは橋上に移り、紀美子と新太郎を間近から写す。紀美子も船上の邦江に気づく。→ふたたび船上の邦江のショット。彼女は目を伏せ、あるかなきかの微妙なニュアンスの憂い顔になる……>

 驚くべきは、この、

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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