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高校生の僕は英語民間試験に異議を唱えた【下】

ちゃんと動けば伝わる。10代の2人は声をあげ、社会の中で学んだ

刀祢館正明 朝日新聞記者

「おかしい」と発信すれば、賛同は可視化される

 ――ところで、2人は発言は積極的だけれど、仲間を増やそうとしているようには見えなかった。あれはなぜですか。

英語入試拡大こばると君=中井征勝氏撮影
 こばると たしかに路上で抗議したりしましたが、それが政治活動という意識はあまりなくて。いい社会勉強になったと思っている。(英語民間試験の問題は)政治とか思想とかの問題ではなくて、受ける立場に立ってちゃんと調べたら、誰でもおかしいとわかると思ったので。無理に賛同うんぬんではなく、ちゃんとおかしいところを指摘していけば気づく人は気づくし、ついてくる人はついてくるので、仲間を集める増やすよりは、おかしいところをどんどん発信していって周知するところに意識があった。

 クリス 僕も問題意識を広げるというところで動いていたところがあります。なぜかというと、8月1日のシンポジウムで言いたいことを文科省の人に「お願いします」と言ったあとに、「AERA」の記者に取材してもらってそれが記事になった経験をしたので。言いたいことが記事になってメディアに出るし、外にも広がる。学校のなかで仲間を集めるよりツイッターとかメディアとか不特定多数の人が見る。だから、記事とかテレビとか全然OKです、フリー素材にしてください、ぐらいの勢いで。

 ツイッターがあったから。そこに仲間がいたから。ツイートするとリツイートする人がいる。それが広がれば、ツイッターやっている人なら参加しようかと思うと思ったし。(ネットで)集団にはなっていた。あとになって気づいて、けっこう反対している人、多くねって。

 こばると 仲間を増やすというよりは、おかしいところも反対している人たちも、すでにあったので。いろいろな方向に一人でたらたらつぶやいていたら、それは聞こえないじゃないですか。あるものをどうやって集めて可視化させるかを意識していた。ツイッターならハッシュタグをつくってトレンドに載せるとか、ネット署名ならたくさん集めるとか。数という観点でいえば、そういう発想が多かった。

 ――それはどこかで学んだのですか、それとも自分で気づいたのですか。

 こばると たぶん自分の意識がそうだったのかなという気がします。まともな意見で批判を述べている人たちが、ここにたくさんいる。それが知れ渡っていないだけ、みんなが興味をもっていないだけ。生徒や教師や大学関係者の声が世間一般に届きにくいのはあるから、集めて可視化しようっていう。それをしていけば、おかしいことをおかしいと言っているだけなので、気づいてくれる人は気づいてくれる。あとは声をどうやって伝えるか、届けるか、集めるか、ということだと思います。

 ――文科省の前や国会内で話すことは大変じゃなかった?

 クリス 全然大変ではなかった。むしろチャンス。

 こばると 言っていることはふだんと変わらない。その場に立ってナマで話さなければならない。それは努力があったけれど、ふだん言っていることと同じことを言っているだけなので。文科省前だったり野党のヒアリングだったり、場や形はいろいろ変わったけれど、疑問や批判や議論は同じことを言ってきただけ。

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筆者

刀祢館正明

刀祢館正明(とねだち・まさあき) 朝日新聞記者

関西生まれの関東育ち。1982年朝日新聞入社。整理部記者、朝日ジャーナル記者、アエラ記者、学芸部(現・文化くらし報道部)の記者と次長、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)客員研究員、早稲田大学非常勤講師、オピニオン編集部編集委員などを経て、現在は夕刊企画班のシニアスタッフ。2013年秋から2019年春まで夕刊で「英語をたどって」を連載した。担当した記事が本になったものに『塩の道を行く』『奔流中国』『3.11後 ニッポンの論点』など。英語は嫌いではないが得意でもない。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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