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『いだてん』田畑政治、五輪の後は

大河ドラマ主人公の歩みをたどる最終回。「記録」と「歴史」を考えた

前田浩次 朝日新聞 社史編修センター長

「歴史」と「記録」の間で

いだてん拡大1964年東京オリンピックの記録映画を監督した市川崑。自らファインダーをのぞく。完成した作品は大ヒットしたが「記録か芸術か」の議論も巻き起こした

 田畑政治と社史という例を挙げるまでもなく、歴史は、記録されたものによって形づくられていく。その「記録」には、歴史書だけでなく、歴史上のことがらを素材にした創作物や、今日であれば、ネット空間にあった記述を検証せずに引用して発信されるコンテンツまでも含まれるだろう。

 『いだてん』はエンドロールで「史実を基にしたフィクションです」と断った。そもそもフィクションの作り手にとっては、小説、映画、テレビドラマで描くことは、実際の歴史ではないことは自明のことだ。出版、上映、放送にあたっては、読者・視聴者もそれを理解していることを前提としているはずだ。

 それを『いだてん』は、例外的にお断りを入れた。

 それでもネットや市井での会話では、「こういう歴史があったということを知ることができた」という感想が飛び交っている。

 本連載では、できるだけ興はそがないようにしたつもりだが、史実とフィクションの違いをテーマにした。『いだてん』の作品内部の世界を楽しんでもらうだけでなく、実際の出来事の一端も知ってもらいたいと考えた。

 もちろん、私のこの記述もまた一つの「記録」である。

いだてん拡大1964年東京オリンピックの開会式。1万羽のハトが舞い上がった

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筆者

前田浩次

前田浩次(まえだ・こうじ) 朝日新聞 社史編修センター長

熊本県生まれ。1980年入社。クラシック音楽や論壇の担当記者、芸能紙面のデスクを経て、文化事業部門で音楽・舞台の企画にたずさわり、再び記者として文化部門で読書面担当とテレビ・ラジオ面の編集長役を務めたあと、2012年8月から現職。

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