メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

日本のミュージシャンよ、もっともっと大胆に!

よく聞け!プロデューサーさんたちよ! 若い真のアーティストを発掘してくれ!!

ミン・ヨンチ ミュージシャン 韓国伝統音楽家

 日本と韓国の仲が悪くなって、私の仕事にも悪影響……もう、どうでもいいわ!って、思うことも、振り返れば半世紀。

 こんな事にもあきてきてしまった私の人生だけど、これでいいのか? 何かしなきゃいけないんじゃない!?って思って、いろいろな試みを自分なりにするものの、無力さを感じる。

 「何か役に立てたらなあ」と、思っている今日この頃。

 考えると、日韓に関するコラムを書くと、なぜか、すぐにランキング1位になったりする。

 みんなの関心度が高いんだね。けど、どっちに高いのかなあ? 悪い方に? 良い方に?

 とにもかくにも私はミュージシャン。だから、音楽に関して今回は語らせて頂きます。

韓国では国楽を色んな所で聴ける!

韓国の伝統打楽器チャンゴを演奏する筆者
 先日、東京で行われた、日中韓文化フォーラムに参加した。

 こんな時期に、日中韓のフォーラムを開いていただいた事に本当に感謝している。

 そこで出た一つの提案。

 色々な国の大使を務めたことのある日本側の方が、「日本ももっと、自国の伝統音楽を活用してほしい。もっともっと、町中で邦楽の響きがたくさん聞こえるようにしてほしい。でも、それは不可能なんでしょうか?」と発言された。

 素晴らしい意見だったと思う。

 不可能ではないと思います。

 実際そういう国はたくさんあって、韓国でも国楽(韓国伝統音楽)を色んな所で、聴くことができる。韓国に旅行に来て、地下鉄に乗ったら、聞こえてくる案内放送は国楽(韓国伝統音楽)である。KTX(韓国の新幹線みたいな列車)もそうです。

 その他、国楽(韓国伝統音楽)FMもあるし、つい最近は国楽(韓国伝統音楽)TVも開局した。

 中学、高校から、専門学校が各地に沢山あって、国楽(韓国伝統音楽)科を設けている大学も少なくない。

 就職先は「国立国楽院」が3つ、各道や市には国楽管弦楽団がある。団員たちは、国の行事はもちろん、国民、道民、市民の行事や、定期コンサートなどを行っている。税金を使っているので、その存在や存続には色々な問題もあるが、新たな企画を出したり、頭を悩ませて自分たちの職場を守ろうとしたり、存在意義を探したりする姿は、結局は国楽(韓国伝統音楽)界全体のためになる。

 日本の伝統業界は、教育システムから韓国とは異なる。学校もほとんどないし、就職先も少ない。世襲制の良さもあると思うが、両国とも、「伝統音楽だって、生きてるんだ!活動をさせてあげないと、本当に滅びてしまうよ!」。

日本のミュージシャンたちよ!上々颱風を聴け!!

 20年前くらいになるかなあ。

 東京の大手レコード会社の担当と話した時、日本は数字が良いCDしか作らないって。

 数字って何?って一瞬思ったけど、現実そうなんだから、仕方ない。

 日本と韓国音楽の交流を長年やっている中で、出会ったバンドの一つに、上々颱風がある。

 素晴らしいバンド!!

 日本の各地の、メロディーや、サウンド、技術、そこにとどまらず、世界各国のワールドミュージックのサウンドを取り入れた音楽だった。

 ジブリ映画の「平成狸合戦ぽんぽこ」の音楽でも有名である。

上々颱風
 1990年代の半ばに出会ったのかなあ。日本の方たちが作ってくれたライブで一緒になった。

 従軍慰安婦問題をハッキリさせよう!ライブ。

 私は韓国からの代表「スルギドゥン」という国楽(韓国伝統音楽)バンドで参加した。

 その時にはじめて、上々颱風のパフォーマンスを目にした私たちは度肝を抜かれた。

 日本と西洋のサウンドを一般大衆が楽しめるようミックスし、すばらしいパフォーマンスをこなしていた。

 しかも、そのライブの、『仏の顔もIT’S All RIGHT』という曲で、

 『ちっちゃい事、ちっちゃい事、気にしないーー♪』を連発。

 この曲を、この歌詞を、従軍慰安婦問題をハッキリさせよう!ライブで、熱唱していたのだ。……一瞬、みんなに緊張が走ったが、大丈夫!

 当事者のおばあちゃんたちもノリノリで踊っていた。

 その後、上々颱風とは長い間交流を持ち、お互いの国で、たくさんの思い出をいっぱい作った。

 思い出!? そう、彼らは、今は休業中。

 今や「和楽器バンド」かな。

 このバンドも面白いと思う。是非、韓国にも招待したい。

 日本のミュージシャンたちよ!上々颱風を聴け!!

 これが真なる、なでしこ侍ジャパンである!

若い真のアーティスト発掘に、全身全霊で頑張ってくれ!!

 ヒット曲は、あるメロディーを何回も聞かされたら、ヒット曲になる。

 また、世界に出るには自国のオンリーワンのサウンドを持っていると、何よりも強い。

 私はこう思う。大手のレコード会社、ラジオ局、テレビ局、そしてプロダクションのプロデューサーさんたちのやり方は、過去の数字とかにこだわりすぎ。

 新しい創造物をつくるのがクリエーターです!

 それに人のつながりは大事かもしれないが、そこに忖度や金銭がいききするやり方は、どうなのでしょうか?

 その彼たちが決めた音楽だけが、一般の皆さんの耳に届いているのです。

 だから、正直日本のポップソングはほかの国に比べて、恐ろしいほど発展していません……一般の方たちがこの忙しい毎日の中で音楽を聴ける時間がどれだけあるでしょうか?

 日本で耳に入る曲は、歌詞が聞きやすく、励ます曲ばっかり……

 たしかに大変なことがたくさんあるので、そういう曲も大事ですが、そればっかりでは、どうかなと。

 料理でいううと、ずっと昔どおりの、懐かしい蕎麦やうどんだけを、それだけを、たべているような感じ。

 もっともっと大胆に創作しないと!!

 たくさんいるはずです。

 若いミュージシャンたちの中には、冒険心のある素晴らしい曲を発信できる人たちがたくさんいるけど、大手のプロデューサーたちがこれを拒む。

 日本文化で発展しているのは、アニメ、ゲーム、お笑い。くらい……。

 もっともっと、頑張ってほしい!!

 そして、よく聞け!プロデューサーさんたちよ!

 若い真のアーティスト発掘に、全身全霊で頑張ってくれ!!

 今日はここまで。

P.S.
2020年 ミンヨンチ&トライソニーク ジャパンツアー決定!!
2/7 名古屋 ジャズイン・ラブリー
2/8 大阪 ミスターケリーズ
2/9 京都 ライブスポット・ラグ
2/11 東京 六本木・サテンドール
各ハウスにご連絡を!!