メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「スカーレット」、ちゃぶ台を返す父と娘の自由

矢部万紀子 コラムニスト

どうも父親への態度がスッキリしない

 「スカーレット」が始まってすぐ、これは「カーネーション」の路線だなと思った。「男の意地じゃ」と語る父に小学生の喜美子が、「女にも、意地と誇りがあるんじゃー」と啖呵を切ったのだ。常治はもう十分に横暴だったから、ここから反逆が始まると期待した。だがそうはならず、思えばこのあたりで「スカーレット」に黄色信号が灯ったのだった。

 「カーネーション」(2011年)のヒロイン・糸子(尾野真千子)は、コシノ3姉妹の母がモデル。呉服屋の長女として生まれ、ドレスに憧れミシンと出合い、やがて呉服屋を洋装店に変えて成功する。和装と洋装という対立構図があり、父を乗り越える娘というのが物語の骨格になっている。

 小林薫演じる父も十分に横暴だったが、それと裏腹の弱さがあり、それでも強がる理由があることがきちんと描かれていた。糸子は父にひるまず意思を伝え、事態を動かしていく。大好きな朝ドラだ。

「カーネーション」(2011年)のヒロイン・糸子(尾野真千子)拡大「カーネーション」(2011年)のヒロイン・糸子役の尾野真千子(中央)と、両親役の小林薫(右)と麻生祐未

 朝ドラとは、女子が何者かになろうとする物語。私なりの定義だ。そして「成功せよ」でなく「堂々とせよ」が女子へのメッセージだと思っている。そのあたりは拙著『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』をお読みいただければ幸いなのだが、宣伝はさておき「スカーレット」に戻る。

 喜美子も、もちろん何者かにならんとしている。だが、どうも父親への態度がスッキリしない。堂々とするのでなく、

・・・ログインして読む
(残り:約1501文字/本文:約3390文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

矢部万紀子の記事

もっと見る