フシ付き語り芸の世界大会に参加、欧州で「中国」を体感
2020年01月18日
新年最初の「旅日記」です。今年も浪曲旅芸人のォ、はじまりはじまりィィィ~!
……と言いつつ、昨年の旅の話、です。うはは。
「……誰も、迎えに来ない」
不安に震える奈々福がおりましたのは、遠くヨーロッパ、ルクセンブルクという小国の空港の到着ロビーでありました。
昨年の10月6日から15日、ご縁があって、ハンガリーとルクセンブルクにお招きいただき、一人で三味線担いで、旅興行に参りました。
通常、浪曲は二人の芸です。浪曲師+曲師。しかし今回、一人。当初は、三味線弾きとして玉川福太郎に入門し、最初の5年は三味線のみの修業をしておりましたので、いまでも、ちょびっとは弾きます。どうしても曲師の都合のつかない場合は弾き語りでしのいだりもいたしまして、今回はそういう仕儀になりました。
最初のブダペスト公演は、国際交流基金のお仕事で、昨年に続いて2度目であることもあり、通訳もアテンドも、本当に細やかにご対応いただきました。
順調なハンガリーの旅のあとに、飛んだ2カ国目のルクセンブルク。
ここ数年、日中文化交流協会を通して、中国曲芸家協会(中国全土の語り芸の芸人たちの所属する団体)の方々と交流があり、その団体が、「世界説唱芸術連盟」……すなわち、世界中の「フシつきの語り芸」の芸人さんあつまれ~!な感じの団体をつくり、本部をルクセンブルクに置き、「奈々福さん、もれなく入るよね」と言われて、「シンポジウム、世界説唱芸術大会開催するからいらっしゃい」と言われたんで、呼んでもらえるなら行っちゃおう!ってんで、行ったのです。
ええ、一人で。
ブダペストから乗る予定のポーランド航空が遅れてその日中にルクセンブルクに到着できないらしいことがわかり、KLMオランダ航空に急遽(きゅうきょ)変更して、乗り継いで。
この時点で、ヨーロッパの空の下、一人おろおろしまくりの奈々福だった上に、ルクセンブルクに着いてみたら。
……空港に、誰も迎えに来ていない。
受け入れは、中国の団体です。でも、その団体の担当者の連絡先、聞いてない。奈々福、迂闊(うかつ)。いつも日中交流協会のYさんが間に入って連絡してくれて、頼り切りでした。
Yさんに連絡とりたくても、日本は真夜中。
日はどんどん暮れてくる。空港に人気がなくなってくる……1時間、呆然と待って、こりゃらちが明かないぞ、どうすればいいかと必死で考える。
あ、そうだ、日本語の行程表もらってあったよな、ホテル名聞いてあったよな、とメールを検索。こういうときに、頼れるものはgoogleくんです。ホテル名を入れたら、地図が出て、空港からタクシーで所持金範囲内で行ける。
タクシーの運転手にホテル名を告げて、なんとか無事に着きました。
中国曲芸家協会の、旧知の事務局長・管さんが飛んできて、「奈々福さん、手違いでした、ソーリー!!!」と英語で平身低頭されて、これで安心、かと思いきや! その後も、びっくり・困惑・大笑いでありました。
だって。「通訳」という人が、いないんだもーーーん!
「世界説唱芸術大会」ですので、世界のさまざまな国から、語り芸の芸人、研究者、専門家が集まっています。日本からは、私のほかに、林家三平師匠の代理で、漫才の青空一風・千風のお二人が参加。
この旅で、私がすべきことは、二つ。
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