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佐藤隆太インタビュー/上

明日への活力が湧いてくる『エブリ・ブリリアント・シング』

橘涼香 演劇ライター


 2013年にイギリスで初演されて以来、ニューヨークをはじめとした世界各地で上演され、一大旋風を巻き起こしている一人舞台『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』が、池袋の東京芸術劇場シアターイーストで、1月25日本初演の幕を開ける(2月5日まで)。

 『エブリ・ブリリアント・シング』は、一人の演者を取り囲む形で観客が座り、ある男性の物語を語っていくもの。観客にはあらかじめ番号を振ったカードが配られ、その番号に応じて短い言葉を読んだり、そこに立ったりすることによって、物語を共に紡いでいくという観客参加型の作品だ。とは言え決して難しいものではない。7歳で母親が入院してしまった少年が、ママを勇気づける為にステキなことや、ステキなものをノートに書き出していく。1番アイスクリーム、2番水鉄砲合戦、3番寝る前に見るテレビ…と増えていくリストが、100万番になるまでの、少年が大人になっていくまでの、ステキなことを探す旅を共にすることによって、同じ場所、同じ時間に集った人すべてが作り出す「明日も元気に生きていく」前向きな気持ちが生み出されていく作品になっている。

 そんなまるでトークライブかのようにユニークな形態で進行する作品で、はじめての一人芝居に挑む佐藤隆太が、自らも大きな感動をもらったという作品への想いや、映像作品と舞台作品の双方で、コンスタントに出演を続けることで感じる、それぞれの魅力や醍醐味、演じることへの想いを語ってくれた。

この作品を大好きになれた見事な演劇体験

拡大佐藤隆太=森好弘 撮影

──一人芝居で、お客様も参加されるという斬新な舞台ですが、いま、作品に関してどう感じていらっしゃいますか?

 今回のお話を頂いてから、ちょうどアメリカのユタ州でこの作品が上演されているということを知ったので、お芝居を観る為だけの弾丸ツアーで行ってきたのですが、本当に面白かったんです! やはり行く前には自分がこのお芝居をこれから創っていくということで、どこか参考にできることはないかな?とか、お客様を巻き込んでいる舞台なので、どういう雰囲気になっているのかが知りたいというような、自分の引出しに入れられるものがあれば…というつもりで行ったのですが、実際にアメリカで観劇した時には、そんなことは全部忘れてしまって! 純粋に一観客として楽しめたんです。

 最初はメモでも取ろうかなと、ペンとノートを用意していたのですが、すぐにいいや! もったいないと思って! それほどはじまってたちまち興奮しましたし、純粋に楽しみたかったんです。何より自分が参加する前に、この作品を大好きになれたことが本当に嬉しかったです。取材だから良い作品ですよ、と、当然言うだろうと思われるかも知れませんが、もし自分がやるのではなかったとしても「面白いから、絶対観た方が良いよ」と人に勧めたいと思えたほど見事な演劇体験でした。

拡大佐藤隆太=森好弘 撮影

──それはとても嬉しいことですよね!

 そうなんです! ただ、そこまで作品を素晴らしいと思ったので、いざ日本で自分がこれを演じるんだと思った時のプレッシャーも大きいのですが、自分が観劇してあれだけ感動できたので、その感激を日本のお客様にも是非持って帰って頂きたいというモチベーションも生まれました。ですからまずこの作品を観に行けてよかった!と思っています。

──そういう中で、今、演じる役柄についてはいかがですか?

 まず、お客様に「自分はどう参加すれば良いのだろうか?」と、緊張感があると思うんです。ですからまずはその空気をほぐすことが求められるんです。僕らの上演がどんな形になるのかは、まだ固まっていないのですが、基本的には演者は開場と同時にもう座席の真ん中にいて、お客様が入場されるのを待っているんです。そして入ってくるお客様にこちらから「こういう形で劇に参加して頂きたいのですが」と声をかけていく。まずこちらが心を開くことでお客様に安心して頂いて「じゃあ私も参加してみようかな?」と前向きに思ってもらう。そこがこの作品の空間を心地よいものに出来るか、とても重要な第一歩であり、一番大きな課題だなと思っています。

◆公演情報◆
『エブリ・ブリリアント・シング』~ありとあらゆるステキなこと~
東京:2020年1月25日(土)~2月5日(水) 東京芸術劇場 シアターイースト
新潟:2020年2月8日(土)~2月11日(火・祝) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
松本:2020年2月15日(土)~2月16日(日) まつもと市民芸術館 実験劇場
名古屋:2020年2月18日(火)~2月19日(水) 名古屋市千種文化小劇場
大阪:2020年2月22日(土)~2月23日(日) 茨木クリエイトセンター
高知:2020年2月29日(土)~3月1日(日) 高知市文化プラザかるぽーと
公式ホームページ:
[スタッフ]
作:ダンカン・マクミラン ジョニー・ドナヒュー
翻訳・演出:谷 賢一
[出演]
佐藤隆太

<佐藤隆太プロフィル>
 大学在学中だった1999年に宮本亜門演出のミュージカル『BOYS TIME』(PARCO劇場)で舞台デビューして注目されると、テレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」、「木更津キャッツアイ」、「プライド」、「海猿 UMIZARU EVOLUTION」などの話題作、注目作に次々と出演し、初の連続ドラマ主演作となった「ROOKIES」の熱血教師役で一気にブレイク。また、テレビ・映画などでの活躍と並行して舞台出演も続けている。主な舞台出演作品は、Team申 第1回公演『時には父のない子のように』、『ビロクシー・ブルース』(初主演)、『ダブリンの鐘つきカビ人間』、『足跡姫〜時代錯誤冬幽霊〜』、『いまを生きる』など。
公式ホームページ

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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

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