BTSはなぜ米国でも成功したか? 日本のアイドルは音楽以外で忙しすぎるのです
2020年01月26日
韓国のアイドルと日本のアイドル。
いまだったら、BTSと嵐かな。両国の代表的なアイドル。
お互い凄い勢いで、活躍していますよね。
私は日本で育ったので、小さな時から、たのきんトリオとか、松田聖子さんとかが、アイドルのイメージ。
モデルのように、ずば抜けた容姿でもなく、歌手のように素晴らしい歌唱力でもなく、ダンサーのように華麗に踊れるわけでもなく……で、一般市民からみると、そばにいそうな、丁度いいいくらいの、かわいい子たち。これが日本で、ウケるんですよね。
その点、韓国はアイドルっていう存在が、1980年後半くらいからかな、始まった。
ソバンチャ(消防車)やカンスジなどが有名で活躍したが、そう長くは続かず、次の世代にはつながらなかった。
なぜなら、ソテジという自分でラップや音楽を作り、そしてダンスも融合した、スーパースターが登場したからだ。
これが、韓国のアイドル史の大きな変化だったかもしれない。
ここからは一転、容姿、歌、踊りがすべて完璧でなくては、ウケないようになったのです。
韓国の場合、文化的岐路は、1988年のオリンピック。その前までは、輸入や輸出、文化においてもたくさんの制約があった。海外の食品や製品などが、ほとんどというくらい輸入されず、国民の手には入らなかったのだ。
音楽に関しては国内の歌(歌詞)にも、もちろん制限がかけられ、外国の歌も駄目だった。なぜなら、歌詞に、検閲があったからだ。美しく健全なのがOKで、すこしでも、セクシャルやヴァイオレンス、社会批判的な要素が含まれていると、駄目であった。
子どもたちが歌っている、童謡みたいなノリの曲が急に1曲流れ出るのだ。
海外のものにはさすがに健全歌謡曲は無かったが、その当時の韓国からしては、海外の歌詞は刺激が多かったのでしょう。ほとんどの歌がカットされていました。
僕の大好きなデビッドボウイのアルバムには、もともと15曲くらいなのに、2、3曲入っていたか、もしくは売っていなかったか。
マイケルジャクソンはほとんど、入ってたなあ。プリンスはほぼ無理。
ビートルズでさえ初期の歌たちは良かったが、中期、後期のアルバムは、売っていても、ほぼ曲が入っておらず、なので、韓国ではビートルズの中期以後の作品で有名なのは、いまだに、イエローサブマリンと、オブラディ・オブラダくらい……。
けど、ホントの洋楽ファンたちは、米軍基地のそばとかで海賊版などを買って、聞いてたらしいけどね。
さてさて、これくらい違う、両国のポピュラーミュージックシーンだが、なぜ、BTSがアメリカでも成功したか、だ。
私なりに思っていることがある。
日本のアイドルは音楽以外のTVにもよく出ていますよね、バラエティー、ドラマ、映画などレギュラーで出演していますよね。ほんと、忙しそう……。
その点、韓国は、音楽番組以外には、あまり出ません。出ても、レギュラーじゃなく、たまに、ドラマや、映画くらいかな。
まあ、いい悪いは問いませんが、忙しいという事は良いことで。
あっそうだ、日本でとある劇団さんと作業した時に、劇団員たちとアイドルの話になって、僕らミュージシャンは、アイドルの歌や音楽、演技とか、いかがなものかなあ?って言ったら、「そうですか、劇団員たちはアイドルの演技は良いと思っていますよ」って、いう会話になった。見方によって多様やなあっと思った事を思い出した。
で、日本のアイドルは音楽以外の仕事で忙しく、日本国内から出にくいスケジュールなんじゃないかな。でも、収入も安定しているし、会社の役員とかもしてるし、とにかく一定の高収入で、収まっている気がする。
こうなると、外(海外や他の芸術活動)に投資する時間的余裕に限界があるかもしれない。それと、収入にある程度満足すると、向上する欲も無くなってしまうかも。
何年か前に、韓国大統領秘書とこんな話をした。
韓国の海外派遣社員志望の競争率は高く、優秀な人ばかり出て行ってるのに比べて、日本はというと、もうみんな遠い所にはあまり行きたくない傾向があるらしいと。特に海外には良い人材が来ないらしいといっていた。日本で十分暮らせるからだ。
話は横にそれるが、ちなみに、私ははっきり言って単身赴任制度が大っ嫌いだ。(行きたかったら社長か役員か、重役たちが直接行ったいいねん)
韓国と日本は、おそらく、海外移民の背景に大きな違いがある。
韓国は国内の社会問題や、教育問題に不服を感じた人達が、海外に移住するという動き。しかも、その歴史は、日本のように100年前にまでさかのぼらない。比較的新しいのだ。
これによってたくさんの国民が、主にアメリカやオーストラリア、ニュージーランドに移住していったのである。
現在もその動きは止まらず……韓国の人口がおよそ5千万人だが、海外同胞はおよそ5百万人とも6百万人ともそれ以上とも言われています。
日本は、もっともっと前に移住した人たちがたくさんいたでしょ。だから、戦前、国が奨励して、生活苦から抜け出す手段として、海を渡り、そして、農園、農場などを開拓して苦労した話は有名だ。
反面、韓国から多くの人が移住した時代は良かった。日本のような背景というよりは、個人的な上昇を目指したのでしょ。
おととし行った南米ツアーの際、サンパウロ韓国人会の会長さんが、言ってた。昔、ここに来た時、現地の人とのコミュニケーションで困った。その時、先駆者であった一緒の肌、一緒の色をした、日本人たちに優しくしてもらい、たくさん助けてもらったと聞いたことがある。
そのサンパウロでも韓流は成功していたなあ。
韓国の人たちの性格って、自分が良いと思ったものを、すぐに周りに紹介する癖があるみたい。自分のことのように自慢するみたいに。
しかも、どの国に行っても、住んでも、私は韓国人!!って堂々とそこに存在している。
反面、日本人もたくさんお会いするが、ほとんどの日本の人は、その国で静かに暮らしているかんじ。目立っていない。
韓国移住者たちは、今のアメリカ社会に入り、成功し、韓国の芸能界を紹介、紹介していったのでしょう!! まず、白人や黒人ではなく、日本人や中国人、東南アジアの人たちね。もちろん、自分の自慢となり、自分の利益ともなる。韓国のアイドルはもともと日本や中国、東南アジアでは有名だから、すぐ共感できるしね。
移民にしても、韓国人は良く話す。そして、SNSなどのネット時代。そのうえ、韓国の人たちは、いまだに海外に対しての、社会的尊敬や劣等感をもち、常に研究を重ねています。世界で成功してやろうと思う、強い気持ちがあるのです。
この勢いがね、今はね、日本となんか違うのです。
ただ、韓国の人たちは飽きっぽいところがあるから、果たして、10年後、20年後にはどうなっているでしょうかね!?
はい、今日はここまで。
P.S.
2020年 ミンヨンチ&トライソニーク ジャパンツアー決定!!
2/7 名古屋 ジャズイン・ラブリー
2/8 大阪 ミスターケリーズ
2/9 京都 ライブスポット・ラグ
2/11 東京 六本木・サテンドール
各ハウスにご連絡を!!
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