「おっさん」だらけ、本音は非公開?、課題も抜け落ち、不安覚える初回傍聴記
2020年01月29日
「大学入試のあり方に関する検討会議」が1月15日に始まった。
新しい大学入試共通テストでの英語民間試験の活用や記述式問題の導入の見送りを受け、文部科学省が急きょ作った会議だ。初回を見て、気になったことがある。いくつか疑問と提案を書いてみたい。
まず、この会議はそもそも何をする会議なのか、あるいは何が出来る会議なのか。
以前、ある有識者会議を傍聴していて気になったのが、委員の一部が「自分たちが政策やルールを決める」「自分たちに決める権限がある」と思っているかのような言動をしていたことだ。一般にこうした会議や委員会は大臣からの諮問に答申したり、役所に提言したりするもので、政策やルールの決定権はないはずだが。なぜか思い違いをしていくようだ。
今回はどうか。
開始時刻の午前10時の少し前。会場となった文部科学省の講堂は、記者席も傍聴席もたくさんの人で埋まっている。
入り口で渡された資料の中に「大学入試のあり方に関する検討会議の開催について」という、2019年12月27日付の「文部科学大臣決定」の文書がある。会議の「趣旨」として「『大学入試英語成績提供システム』及び大学入学共通テストにおける国語・数学の記述式に係る今般の一連の経過を踏まえ、大学入試における英語4技能の評価や記述式出題を含めた大学入試のあり方について検討を行う」とだけある。
大学入試のあり方について「検討を行う」のであって「決定する」とはうたっていない。
ここはお願いしておきたい。委員の皆さんにはくれぐれも「自分たちが決めるのだ」とか「その権限がある」といった考えに陥らないようにしてほしい。
さらに読むと、なんらかの成果を「答申する」とも「提言する」とも書かれていないことに気づく。なるほど、検討しただけで終わってしまっても構わないということか。
ここをどうとらえるべきか、注意が必要だろう。
萩生田光一大臣が数分遅れて入室し、会議が始まった。委員は18人。うち女性は3人だけだ。文科省側の官僚席にも男性が並ぶ。自分のことを棚にあげて言うが、ぱっと見た印象は、おっさんだらけ、だ。安倍晋三政権が掲げる「女性活躍」は、ここでは考慮しなかったらしい。
政権の意向を踏まえるまでもなく、もっと女性委員を入れる(=男性委員を減らす)ようには出来なかったのか、と思う。総勢18人なら男女9人ずつでちょうどいいはずだ。しかも、座長も座長代理2人も全部男性とはおかしくないか。大学入試といえば、医学部の入試で女性差別が大きな問題になっていたはずだが。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください