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今時音大生の師匠はユーチューブ

大学のワークショップで特別講義して思い出したあの苦しい日々

ミン・ヨンチ ミュージシャン 韓国伝統音楽家

午前1時からの席取り競争

 思い起こせば1986年4月に渡韓。国立国楽高等学校で、朝の5時から夜の11時まで勉強と練習の日々を重ね、ソウル大学へ。そして大学院。死ぬほど練習したし、勉強しました。死ぬほどね。

 音楽の練習は苦ではなかったけど、学問がきつかったなあ……(なぜなら音楽はできたから、フフフ)

 高校3年にもなると、受験を控えて、教室の席取り合戦が必死。その日の1日の席を、朝早く来た順から選べるのですよ。

 だから、僕が朝5時に行ってももうすでに後ろの方。一番最初に来た子は、1時、2時くらいに来ていた。

 えーー!! 午前ですよ、1時 2時!!

 毎日夜11時まで、一緒に学校で勉強していたのに。彼らは、家には1度戻って、シャワーして、仮眠とったくらいで、また学校に来ているのです。

 こんなのが毎日続く。

拡大Chinnapong/Shutterstock.com

 ある、女の子なんかは、片方の眉毛を剃った。

 どうして?!って。それはね、家と学校以外の場所に、行かないようにするためです。

 女の子が、眉毛を片方剃ってたら、恥ずかしくて外に出られないでしょう……

 信じられませんが、そういう作戦なりなんなり、皆ホント必死です。

 みんな弁当は3つ持ってきてる。朝、昼、夜の分です。

 カバンも何十冊の教科書が入っていて、重たい、重たい、それに各自の専攻の楽器も持ってるし。

 あーー、思い出しただけで、逃げたくなる……。当時も毎日逃げたかった。

 「日本に帰ってやる、絶対に帰ってやる!」

 って思ってた。3年間。

 夏休みや、冬休みに日本に帰ったら、中学の友だちらが、バイトをしながら、自由に遊んでるのを見て、本当に羨ましくて、2度と韓国には戻りたくなかった。

 けど、やはり、父母が一生懸命に小さな焼き肉屋で、汗水たらして稼いでくれているのがいつも頭によぎったので、やめなかったんだろうなあ。

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筆者

ミン・ヨンチ

ミン・ヨンチ(閔 栄治) ミュージシャン 韓国伝統音楽家

大阪生まれ。幼少の頃からブラスバンドやドラムを経験し、高校から韓国へ。旧李王朝雅楽部養成所であった国立国楽高等学校に入学、ソウル大学音楽学部国楽科卒。1992年サムルノリ競演大会個人部最優秀賞。1992年国楽室内管弦楽団「スルギドゥン」に入団。1993年スーパー・パーカッション・グループ「PURI」創団メンバー。イ・ムンセ(歌手)のテレビ番組にも出演。現在も韓国伝統音楽とジャンルの違う音楽とのコラボレーションに活動中で、2009年に立ち上げた公演「新韓楽」ではジャズとコラボ―レーションした。日韓両国で数多くの公演。アルバム「HANA」(2015年/ユニバーサルミュージック・ジャパン)をリリース。ライブでは日本全国3万人を動員。国楽管弦楽の作曲にも力を入れ、2014年韓国文化芸術委員会で作曲賞受賞。「大衆に楽しんで聞いてもらえる楽曲作り」を目指す。現在、韓国芸術総合大学、梨花女子大学、秋藝芸術大学講師。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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