メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

被害者を見捨て続ける警察の「BlackBox」

「真実はいつもひとつ!」でなければならない

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 「やったー!」

 ニュースを見て思わず声を出してしまいました。

 2019年12月18日、ジャーナリストの山口敬之氏から性暴力の被害に遭ったとして、伊藤詩織さんが民事裁判で勝訴になった速報を知った時のことです。

 性暴力被害を訴えることに、とてつもない高いハードルが存在する日本の社会。それに加えて、被疑者の逮捕直前で当時の警視庁刑事部長が中止を命令するという、法治国家としてあり得ない事態が起こりました。にもかかわらず、彼女は諦めずに闘い続けてきたことから、今回の判決に喜んだ人も少なくないでしょう。まだ最初の一歩かもしれませんが、非常に大きな一歩だと思います。

セカンドレイプの加害者相手にも勝訴を得て欲しい

 また、伊藤詩織さんは、山口氏との民事裁判が終わり次第、セカンドレイプに該当するような情報発信をした人々に対しても法的措置を取ることを検討しているそうです。きっとその裁判も、「セカンドレイプ=名誉毀損」という当たり前の常識を作る上で大事な裁判になるでしょう。どうかすべてうまくいって欲しいと思います。

 一方で、山口敬之氏を擁護しようとセカンドレイプをする人々の中には、「性暴力の被害者が堂々としているor笑えるのはおかしい=嘘つきだ」のような論旨で、伊藤詩織さんの顔に泥を塗ろうとしているようです。しかし、そのようにして性暴力に関する自らの無知や偏見を開陳すればするほど、どんどん泥が塗られているのは自分たちの顔だという自覚がない点も含めて、非常に愚かだと感じます。

山口敬之氏を擁護山口敬之氏を擁護する識者も少なくなかった

 たとえば、彼らは「枕営業大失敗!」(漫画家・はすみとしこ氏のイラスト)や「女として落ち度がある」(杉田水脈衆議院議員)等のレッテルを張っていましたが、仕事を求めているのに意識をなくすほど自ら大酒を飲む人がどこにいるのでしょうか? バッシングのためにストーリーを必死に構築したのかもしれませんが、現実では全く成り立たないむちゃくちゃな作り話を仕立てていたわけです。

警察・検察組織全体の改革が必要不可欠だ

 それにしても、全く同じ事件を扱っているにもかかわらず、準強姦容疑が不起訴処分になった刑事手続きと、民事裁判における今回の判決で真逆の結果が出るという、あり得ない事態が生まれたことになります。長寿アニメ『名探偵コナン』には、「真実はいつもひとつ!」という有名なキャッチコピーがありますが、「真実は時にふたつ!」ということが現実社会で起こったわけです。

・・・ログインして読む
(残り:約2736文字/本文:約3831文字)