勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
「真実はいつもひとつ!」でなければならない
「やったー!」
ニュースを見て思わず声を出してしまいました。
2019年12月18日、ジャーナリストの山口敬之氏から性暴力の被害に遭ったとして、伊藤詩織さんが民事裁判で勝訴になった速報を知った時のことです。
性暴力被害を訴えることに、とてつもない高いハードルが存在する日本の社会。それに加えて、被疑者の逮捕直前で当時の警視庁刑事部長が中止を命令するという、法治国家としてあり得ない事態が起こりました。にもかかわらず、彼女は諦めずに闘い続けてきたことから、今回の判決に喜んだ人も少なくないでしょう。まだ最初の一歩かもしれませんが、非常に大きな一歩だと思います。
また、伊藤詩織さんは、山口氏との民事裁判が終わり次第、セカンドレイプに該当するような情報発信をした人々に対しても法的措置を取ることを検討しているそうです。きっとその裁判も、「セカンドレイプ=名誉毀損」という当たり前の常識を作る上で大事な裁判になるでしょう。どうかすべてうまくいって欲しいと思います。
一方で、山口敬之氏を擁護しようとセカンドレイプをする人々の中には、「性暴力の被害者が堂々としているor笑えるのはおかしい=嘘つきだ」のような論旨で、伊藤詩織さんの顔に泥を塗ろうとしているようです。しかし、そのようにして性暴力に関する自らの無知や偏見を開陳すればするほど、どんどん泥が塗られているのは自分たちの顔だという自覚がない点も含めて、非常に愚かだと感じます。
たとえば、彼らは「枕営業大失敗!」(漫画家・はすみとしこ氏のイラスト)や「女として落ち度がある」(杉田水脈衆議院議員)等のレッテルを張っていましたが、仕事を求めているのに意識をなくすほど自ら大酒を飲む人がどこにいるのでしょうか? バッシングのためにストーリーを必死に構築したのかもしれませんが、現実では全く成り立たないむちゃくちゃな作り話を仕立てていたわけです。
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