【12】小唄勝太郎・三島一声「東京音頭」
2020年01月30日
唄:「東京音頭」(小唄勝太郎・三島一声)
時:昭和8年(1933)
場所:東京
昭和20年(1945)8月15日、日米開戦から4年、日中戦争から14年つづいた戦争がようやく終結した。新しく日本の統治者となったのは、マッカーサー元帥をトップに戴くGHQ(連合国軍総司令部)。それにともない、「東京音頭」は、コーンパイプをくわえた新しい統治者から新たな「死の危難」を突きつけられることになる。
GHQには教育・文化・思想を統制するために検閲局が設置され、新聞・ラジオなの報道機関や出版をはじめ「歌舞音曲」も、戦前・戦中に「忠君愛国」の軍国主義イデオロギーを鼓吹する役割を果たしたと判定されると、検閲・禁止の憂き目にあった。
それによりたとえばチャンバラ映画は上映禁止にされ、嵐寛郎や片岡千恵蔵などの国民的ヒーローも仕事を失い、往年の時代劇のフィルムにはハサミが入れられた。
このGHQ検閲局に「東京音頭」も目をつけられた。嫌疑の矛先は、皮肉にも、戦時中、内務省の検閲対象から「東京音頭」の命を救ってくれた以下の歌詞たちだった。
A面2番 ♪ハァ東京よいとこ チョイト日本照らす ヨイヨイ 君が御稜威(みいつ)は 君が御稜威(みいつ)は 天照らす
A面5番 ♪ハァ君と民との チョイト千歳の契り ヨイヨイ 結ぶ都の 結ぶ都の 二重橋
B面3番 ♪ハァ花になるなら チョイト九段の桜 ヨイヨイ 大和心の 大和心の 色に咲く
こうして「東京音頭」は〝死んだも同然〟の危難をなんとか脱することができたが、それをもって、復活をとげたとはとても
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