2020年01月30日
この数年、性犯罪に関連する認識・制度の変革が進んできた。前回、私は2020年に予定されている刑法・性犯罪条項の見直しに向けて、(1)強かん罪(強制性交等罪)に強盗罪以上の有期懲役を科すべきこと、(2)現在13歳となっている「性交同意年齢」を引き上げるべきことを、論じた。
さらに今回、(3)「監護者」に限定せずに、より広く権威・権力を有する立場の人による性犯罪を処罰できるようにすること、(4)年少者が被害者となった性犯罪(ことに「性虐待」)については、公訴時効を停止もしくは撤廃すべきことを、論じたい。
「性虐待」への問題関心が、近年非常に高まってきた。従来、父親が実の娘にこのようなおぞましい所業を働くなどと想像することに、強い道徳的タブー意識が働いてきた。そのせいか、これが表だって問題にされることは決して多くはなかったように思われる。
だが、親(もしくは監護者)が子に加える虐待のうちに「性的」なものが含まれるという事実が、じょじょに明らかにされてきた。
なるほど兄弟姉妹間の、あるいは親子間の「近親相かん」は、むかしから語られてはきた。だが近年明らかにされ問題視されてきたのは「相かん」ではなく、兄弟から姉妹に対する、父親(義理の父、愛人等を含む)から娘に対する、一方的な強かん(強制性交等)である。
ともあれ、それがはっきりと問題化されるようになった事実は明らかな進歩である。その動きが、2017年改定刑法に生かされた事実の意味は大きい。
だが、「監護」という、民法によって親権の効果として定められた、「監督し保護する」行為をなす者(実の親、時に親族等)のみに対象を絞るのは、問題である。監護者の未成年者に対する影響力は大きいとはいえ、他にも各種の権力的・権威的な関係を通じて、相手を支配する(強かんする)事犯も、しばしば報道されている。
近年起きた例で言えば、
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