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「冤罪」防止への寄与

 そして、被告人に上記の説明を求めることは、「不同意性交等罪」の創設という点では逆説的だが、「冤罪」の防止にも寄与しうる。

 性犯罪がからむ冤罪として典型的なのは、2006年3月の名古屋地裁で裁かれた類の事件であろうか。ある男性が、「恋仲」と思っていた同僚女性が泥酔したために、求めに応じてその車で自宅まで送り届けた。その際、女性が「泊まっていっていいよ」と述べたために部屋に上がり性関係をもったが、翌日女性から強かんの被害届が出されたのである。被疑者はそのまま起訴されたが、公判の過程で、供述の変遷や同僚の証言等から女性の供述の不自然さが認定されて、被告人に無罪が言い渡された(粟野仁雄『「この人、痴漢!」と言われたら――冤罪はある日突然あなたを襲う』中公新書ラクレ、2009年、37-8頁)。

 だが、女性が「泊まっていっていいよ」と述べたとしても、

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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