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『チェーザレ 破壊の創造者』制作発表会見

明治座が1873年の創業以来初となるオーケストラピットを稼働

真名子陽子 ライター、エディター


 ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』が4月13日~5月11日まで明治座にて上演されます。本作は、「モーニング」(講談社)にて不定期掲載されている人気作家、惣領冬実さんによる同名の大ヒット歴史漫画をミュージカル化。明治座が1873年の創業以来初となるオーケストラピットを稼働し、本格ミュージカルを上演します。

 『チェーザレ 破壊の創造者』は、15世紀のルネッサンス期イタリアを舞台に、イタリア半島の統一、そして欧州統一の野望を抱いた名門ボルジア家の後継者、チェーザレ・ボルジアの戦いを描いた作品で、脚本を荻田浩一さん、演出を小山ゆうなさん、そして音楽を島健さんが担います。

拡大ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』制作発表会見から=宮川舞子 撮影

 制作発表会見には小山ゆうなさんと、主人公チェーザレ・ボルジアを演じる中川晃教さんをはじめとする男性俳優ばかり14名が登壇し、作品へかける思いを語りました。

人生と重なるような物語をお届けできるように

拡大小山ゆうな=宮川舞子 撮影

小山ゆうな:演出
 大好きなイタリアを舞台にした作品で、また、歴史ある明治座さんで初めてオーケストラビートを使われるという大切な作品に関わらせていただくことを大変光栄に思っております。そして、惣領さんの原作 、荻田さんの脚本、島さんの美しい音楽、そこにミュージカル界の宝物であるこのキャストの皆さんと、良い作品を創れるように全力を尽くしていきたいと思っています。

拡大中川晃教=宮川舞子 撮影

中川晃教:チェーザレ・ボルジア役
 近年僕が関わらせていただいている役の年齢を振り返ると、16歳が多いんです。現在37歳です……(笑)。チェーザレも16歳から始まります。歳を重ね、経験を重ねさせていただきながら、今こうしてこの場に立つことができています。そして、ヨーロッパを舞台にした作品、だけど今の私たちが生きている時代とどこか共通するところがあります。チェーザレはリーダーです。その強い力を持ったリーダー、チェーザレという人間がどのように成長していくのか。ミュージカル界の大先輩の皆さん、実力そして人気ともに兼ね備えている若い皆さん、同年代のの藤岡さんと宮尾さん、大きく分けるとこの三つの層の中で、この新作を成功させるべく一生懸命にがんばっていく僕自身が、物語の中のチェーザレと重なります。自分の人生と重なるような物語をお届けできるように、がんばりたいと思います。

男子それぞれの魅力が花開く舞台になる

拡大別所哲也(左)と宮尾俊太郎=宮川舞子 撮影

別所哲也:チェーザレの父、ロドリーゴ・ボルジア役
 チェーザレの父を演じます。権力、知力、財力、力あるものが美しい、それがすべてであると思っている父親像を演技力、歌唱力でどう迫っていけるか。素晴らしいメンバー、男子が揃いましたので、それぞれの魅力が花開く舞台になると思います。ぜひ、ご堪能いただければと思います。これまでもミュージカルに関わらせていただいておりますが、こうしてオリジナルミュージカルを日本から発信できることは大変うれしく思います。日本のオリジナルな世界観が世界の人の目に留まるように、そしてローマ公演を夢見ながら、中川さんを中心に一つ一つ仲間と共に創っていきたいと思います。

宮尾俊太郎:チェーザレの側近、ミゲル・ダ・コレッラ役
 普段はバレエダンサーとしてまったく声帯を使わない生活をしているんですけれども、先ほど確認しましたら、たぶん踊らないということなので、歌と芝居でこのドラマを創らせていただくことになります。イタリアが大好きなんですが、ルネサンス期の文化・芸術が構築されていった時代の人間ドラマを、ここに集まった方々とその空気を作って、皆さまにその空気を味わっていただけたらと思います。ミゲルはチェーザレの側近ですので、危険なことがあれば駆けつけます。まずは中川さんの近辺を護衛したいと思います(笑)。

明治座さんは本気、ほぼ二つ返事で

拡大岡幸二郎(左)と藤岡正明=宮川舞子 撮影

岡幸二郎:ボルジア家の宿敵、ジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ役
 このお話をいただいてキャストを見た時に、明治座さんは本気だなと思い、ほぼ二つ返事でやらせていただきますと返事をしました。初めてオケピットを使いますし、そして素晴らしいオリジナルミュージカルができるんじゃないかと確信していますし、私もその一コマになれたらと思っています。私の役は一番黒い役、憎たらしい役です。憎たらしければ憎たらしいほど、正義が素敵に見えると思います。憎たらしく演じたいと思います。

藤岡正明:詩人、ダンテ・アリギエーリ役
 僕は近年というか、ずっと労働者の役をやって参りました。今回のお話をいただいて貴族の方々がいっぱい出る、今度こそ貴族の役ができると思っていました。違いました……ボロボロの衣装でした(笑)。ただ、偉大な詩人ダンテを演じさせていただきます。明治座さんで初めて大作ミュージカルをされるということで、その歴史的な幕開けの瞬間をぜひ期待して、劇場へ足をお運び下さい。

あの空間でどんな響きが生まれるのか

拡大今拓哉(左)と横山だいすけ=宮川舞子 撮影

今拓哉:ボルジア家とは同盟関係でフィレンツェ共和国の支配者、ロレンツォ・デ・メディチ役
 明治座には3回目の出演になりますが、これまでオーケストラピットがあることを知りませんでした。あの空間で生オケでどんな響きが生まれるのか、どんな歌が生まれるのか、どんなドラマが生まれるのか、今から楽しみでなりません。ワクワクしております。演じるロレンツォは芸術、政治、経済、宗教すべてのHUBにいた人物だと思います。新しい作品を作るにあたり、いろいろな年代、キャラクターのHUBになれるように励みたいと思います。

横山だいすけ:ルクセンブルグ家皇帝、ハインリッヒ7世役
 素晴らしいキャストの皆さんと共に明治座の舞台に立てることをうれしく思います。皆さんが明治座はいろんなチャレンジをしているという話を伺った時に、僕をキャスティングしたことがチャレンジだったんじゃないかと思いました。9年間、歌のお兄さんをやっておりましたが、今回は伝説の皇帝という重い役をいただきました。笑顔や変顔を中心にやってきましたが、今回は一切ございません! 伝説の男になれるようにばんばりたいと思います。そして、この作品が伝説のミュージカルと言っていただけるように力を添えられたらと思います。

Wキャストは「スクアドラ ロッサ」と「スクアドラ ヴェルデ」

拡大左から、松田凌、平野良、鈴木勝吾=宮川舞子 撮影

【スクアドラ ロッサ】
松田凌:アンジェロ・ダ・カノッサ役
 明治座の新しい試みのもと、素晴らしい歴史の中に新たな1ページを刻むという作品に、自分も参加させていただけることを本当に光栄に思います。今の自分が持っているすべての力を出し切って、舞台の上に立たせていただきたいと思っております。

平野良:ジョヴァンニ・デ・メディチ役
 明治座初の試みであるオーケストラピットを使ってのグランドミュージカル。そして、僕が尊敬して止まない中川晃教さん主演で、いつかご一緒したいと思っていた大先輩と、この素敵な作品で携われるということを幸せに思います。今さんの息子ということで、困ったら何でも今さんに聞きにいこうと思っております(笑)。最後まで、高貴であり、威厳のあるメディチ家を作っていけたらと思っております。

鈴木勝吾:ロベルト役
 初めてグランドミュージカルに参加させていただきます。若手チームはダブルキャストで2チームに分かれているのですが、僕のチームで言うと公私ともに信頼のおける俳優仲間で、みんなと一緒にできることはとても光栄です。尊敬している大先輩方と同じステージに立てるということを噛み締めながら、がんばっていきたいと思います。

※ドラギニャッツォ役の井澤勇貴は欠席。

拡大左から、山崎大輝、風間由次郎、近藤頌利、木戸邑弥=宮川舞子 撮影

【スクアドラ ヴェルデ】
山崎大輝:アンジェロ・ダ・カノッサ役
 本当に錚々たる先輩方の中、僕がおそらく最年少になるのですが、皆さんからいろいろなものを吸収して、成長していきたいと思っています。アンジェロという役は、『チェーザレ』を観に来る方の視点になれる役だと思います。皆さんを『チェーザレ』という素晴らしい作品に引き込めるように演じていけたらと思っております。

風間由次郎:ジョヴァンニ・デ・メディチ役
 僕自身、漫画やアニメを見ることが好きなので、原作ファンの方にも楽しんでいただける作品になれば良いなと思っています。群像劇だと思っているのですが、Wキャストの僕たちはガムシャラにやります。その僕たちだからこそでできるものがあると思っています。今からワクワクしております。僕のお父さんも今さんなので、双子のお父さんだと思っていただいて(笑)……僕も困ったことがあったら聞きにいこうと思っております。

近藤頌利:ドラギニャッツォ役
 歴史ある作品を現代で表現できるということ、そして素敵な俳優の方々とご一緒できることを幸せに思います。出演の話をいただいた時、喜びと共に「おっマジか!?」と……何しろ僕は初ミュージカルです、挑戦です。努力をして作品づくりの一員となれるように、精一杯がんばります。

木戸邑弥:ロベルト役
 素敵な大先輩の皆さんに囲まれて緊張していたのですが、これまでのお話を聞いて、とても愉快な先輩たちだなと安心しました。明治座さんの新たな挑戦ということで、僕自身もどんどん挑戦していきたいと思います。演劇界に新たな風を吹かせるようにがんばっていきますので、応援のほどよろしくお願いいたします。

★原作者:惣領冬実さんコメント
 最初に舞台化のお話をいただいた時、もっと華やかなものが良いのではと思いました。しかし、ドキュメンタリー番組のように進行していく漫画だからこそ、ミュージカルの持つ歌での語りや、心理描写を通してこの作品に入りやすくなるのではないかと想像しています。宗教と権力、そして陰謀が渦巻くルネッサンス時代のイタリアを背景に、さまざまな策を巡らせながら、チェーザレがどのように舞台の上に息づいていくか楽しみにしています。

 最後に、中川晃教さんによる劇中歌『チェーザレ』の歌唱披露がありました。

拡大中川晃教=宮川舞子 撮影

拡大中川晃教=宮川舞子 撮影

 歌唱後、「今の時代に、この物語がお客さまの心にどんな爪痕を残すのか。16歳からチェーザレを演じこの楽曲を歌いますが、年齢を超越して再びこの歌をお届けできるように精進していきます。楽しみにしていて下さい」と述べ、会見は終了しました。

◆公演情報◆
ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』
原作:惣領冬実『チェーザレ 破壊の創造者』(講談社「モーニング」連載)
原作監修:原基晶
東京:2020年4月13日(月)~5月11日(月) 明治座
公式ホームページ
公式ツィッター
[スタッフ]
脚本:荻田浩一
演出:小山ゆうな
音楽:島健
[出演]
中川晃教
宮尾俊太郎(Kバレエ カンパニー)
〈スクアドラ ロッサ〉 松田凌 平野良 井澤勇貴 鈴木勝吾 (Wキャスト)
〈スクアドラ ヴェルデ〉 山崎大輝 風間由次郎 近藤頌利(劇団Patch)木戸邑弥(Wキャスト)
藤岡正明/今 拓哉 丘山晴己 横山だいすけ/岡 幸二郎
別所哲也 ほか

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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