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「準強かん」 事犯、福岡高裁の逆転有罪判決は画期的だが……

鍵となる「#MeToo」運動・「フラワーデモ」

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

(2)「故意」概念が狭く解されている

 しかも、形法の基本原則は維持されており、したがって犯罪認定・科罰の基準は容易に変わりようがない。

 刑法には、「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」という規定がある(第38条第1項)。だから、準強かん事犯では、被害者が「心神喪失」あるいは「抗拒不能」の状態だったという事実認定と同時に、被告人がそれを認識した上で強かんしたという「故意」の認定が、求められる。

 だが、故意認定の基準は、司法の現場において高くも低くもなる。今日の司法では、故意は過度に厳密に解され、これが悪質な準強かん事犯をも無罪へと導く大きな要因となっている。つまり日本の裁判所は、故意の有・無を二者択一的に問い、その中間に位置する曖昧領域(いわゆるグレーゾーン)を「未必の故意」として認定する方向には向かっていないのが、現実である。

 準強かん罪の認定において、この点が高いハードルになっている。だが

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

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