白い反物を好みの色に、あつらえる喜び、古着にも掘り出し物が
2020年02月15日
昨日(2020年2月7日)、浪曲定席木馬亭二月公演の最終日。
トリの天中軒雲月師匠。演題は赤穂義士外伝「忠僕直助」、三味線はいつも奈々福を弾いてくださっている沢村豊子師匠。この一席が。……すごすぎました。浪曲には譜面がない。相手の息を読みながら、節が三味線をあおる、三味線が波のように浪曲師をあおる、押し寄せる波と引く波と、自由すぎる怒涛のセッションに、客席も袖も唖然呆然、度胆抜かれる一席で。
これぞ、浪花節の真骨頂。
生涯に一度でも、あんな一席ができればとこみ上げてくる思いを抑えつつ、お二人の大先輩を、心底尊敬しました。それを袖で頭を垂れながら聞き入っている若手たちの姿もよかった。
ああ、とにかく、すごいものを、浴びました。
いつも、芸にまつわる旅のことばかりで、浪曲そのもののことって言ってなかったんで。浪曲って芸は、すごいんだぞー―。
さて。今回はきもの旅。
浪曲師の制服は、きものです。戦闘服でもあります。
きもの、手に入りやすい時代になりましたよね~っ! 古着屋さん花盛り。いきなり新品買うのは敷居が高いが、すばらしいきものが本当に手ごろな値段で、買えます。
私はいろんな買い方をしています。
古着屋さんでも、かなり買ってます。ネットの古着屋さんのサイトも最近のは本当によくできていて、裄丈(ゆきたけ=首の後ろの真ん中から手首までの寸法)も、きものの細部も、かなりよくわかる。けっこういい買い物できます。
きものやさんで作ることももちろんあります。
その「あつらえる」ということを、今日は言いたい。
ただ、買うんじゃない。きものやさんとしっかり意志を疎通して、自分の好みで、自分の目的に合う、自分に合うものを、つくる楽しみ・贅沢(ぜいたく)を。
戦闘服は、自分の好みで着るのではありません。
なにより、舞台映えすること、そして浪曲の演題に合うことを考え、基本、色無地の紋付を着ることが多いです。
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