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【公演評】月組『出島小宇宙戦争』

奇想天外でロマンチックな物語、鳳月杏がドラマシティ初主演で宇宙人と対決!?

さかせがわ猫丸 フリーライター


 月組公演デジタル・マジカル・ミュージカル『出島小宇宙戦争』が2月8日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで初日を迎えました(2月24日~3月1日/東京・東京建物 Brillia HALL)。

 長崎の出島に宇宙人がやってきた!? 江戸幕府の命を受け、潜入調査に向かった天文学者カゲヤスを待っていたのは、奇妙な幻想未来都市だった――。

 タイトルやポスターの画像ではどんな作品か、まったく想像がつかなかったこの『出島小宇宙戦争』。奇想天外なドタバタコメディかと思えば、意外や意外(?)ロマンチックもたっぷり味わえるお話でした。主演をつとめる鳳月杏さんは、初舞台を月組で踏んだ92期生。途中、花組で5年間を過ごしましたが、昨年、再び月組へと舞い戻ってきました。抜群のスタイルに安定した実力、大人の色香あふれる鳳月さんが、いよいよ待望のドラマシティ初主演&東京進出です。

鳳月のクールな天文学者

――江戸の町を騒がす大事件の噂、それは長崎の出島に宇宙人が忍び込んでいて、この国の秘密を探っているという。人々の動揺を重く見た幕府は、宇宙研究の第一人者カゲヤス(鳳月)に、出島への潜入調査を依頼する。乗り気ではないカゲヤスだったが、宇宙人の狙いが、自分が隠し持つ師匠タダタカ(光月るう)の日本地図と聞くと一転、幼なじみのリンゾウ(暁千星)とともに出島へと向かうのだった。

 舞台は、江戸の町民たちが宇宙人の噂で大騒ぎしているところから始まります。宇宙人というキーワードで、町民や月組ファンが連想するのは、もちろんあのキャラクターでしょう。イラストの登場だけで、客席を大いに沸かせてしまいました。ちなみにご本人は、現在、御園座で『赤と黒』に出演中です(ヒントは大劇場公演『BADDY-悪党は月からやって来る-』)。

 将軍家の老中タダアキラ(紫門ゆりや)と役人ヌイノスケ(英かおと)が、この騒動をなんとかしようと引っ張り出したのが、鳳月さん演じるカゲヤスでした。カゲヤスは元幕府の天文方でしたが、研究に没頭するあまり公金を使い込んだ大罪人。それでも宇宙人が相手とあっては、幕府も彼に頼らざるを得なかったのです。

 カゲヤスはシルバーの長い髪を一つに結い、いなせな着流しにウエスタンな帽子にジャケット、武器かと見まごう天体望遠鏡を抱え、何時代の人か全くわかりませんが、とにかくカッコいい。研究者らしい世捨て人風でありながら、実は武術にも長けているのがまた心憎いではありませんか。余裕たっぷりでクールな鳳月さんが引き出すカゲヤスの魅力に、引き付けられずにはいられません。

◆公演情報◆
デジタル・マジカル・ミュージカル『出島小宇宙戦争』
2020年2月8日(土)~ 2月16日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2020年2月24日(月)~ 3月1日(日) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出/谷 貴矢

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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