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スタジオライフ『死の泉』インタビュー/上

こういう作品に携わると独特の雰囲気を醸し出す

真名子陽子 ライター、エディター


 2月27日に舞台『死の泉』が初日を迎えます。本作は皆川博子さん原作、スタジオライフの倉田淳さんが脚本・演出を手掛け、1999年に初演。その後、再演を繰り返し今回が4度目の上演になります。また、今年35周年を迎えるスタジオライフの舞台を、東映ビデオが共同プロデュースし、新たなコラボレーション作品を生み出すプロジェクトの第1弾公演でもあります。

 スタジオライフ劇団代表の藤原啓児さんと、劇団員で同期入団の関戸博一さん、松本慎也さんに、今作『死の泉』について、劇団35周年についてお話を伺いました。

スタジオライフらしい芝居をガッツリと

拡大左から、松本慎也、藤原啓児、関戸博一=森 好弘 撮影

――12年ぶりに『死の泉』を上演すると聞いたときの感想を聞かせてください。

関戸:久しぶりに僕が入団してから10年くらいまではよくやっていたスタジオライフらしい芝居を久しぶりにガッツリやるんだなと思いました。大変だなと思うと同時に、そのスタジオライフの芝居で育ってきましたので、もう一度やれるのはすごく楽しみです。

松本:前回の公演の時は外部公演に出演していたので、客席から観ていたんです。すごくおもしろかったのですが、やはり自分が客席側に居る悔しさみたいなものがありました。同期も出演していましたし、僕だったら……という思いを抱えながら見ていたので、今回マルガレーテという役を演じられることをすごく幸せに思います。スタジオライフらしい作品ですし、エンターテインメント作品が多い中、こういったストレートプレイで重厚な作品を真摯にやれることはすごくうれしいです。

――お稽古はどんな雰囲気で進んでいるのでしょうか?

松本:稽古をしていて感じるのは、演出の倉田さんがものすごく先に行ってるんです。

関戸:倉田さんの中ですでに出来上がっているんだよね。

松本:そう。演出もいつもと少し違っていて、心情的に求められることが、さらにすごく深い所にあるなと感じます。

関戸:倉田さんが行き着いているところに僕たちが行き着かないとその先へ行けないですし、早く追い着かないと前回を超えられない。

劇団員の真面目度に威力が増す

拡大藤原啓児=森 好弘 撮影

――藤原さんから見ても稽古場での倉田さんはいつもと違うのでしょうか?

藤原:『トーマの心臓』やオリジナル作品をやっているときと、基本は変わらないんです。精神の抑揚や実感などを真摯に掘り下げていくやり方に関しては何も変わらない。ただ、うちの劇団員は元々真面目なんですけれども、戦争という極限下の人間ドラマとなるとその真面目度に威力というか迫力が増すんです。

――なるほど。

藤原:ある作品で、セリフもなくただ死体を荷車に積んで囚人たちが運ぶシーンで、如何にリアリティを持って、死体を積んで歩いている悔しさや悲しさを出すかを何回も練習していたんです。そういう真摯さを持ち合わせていて、こういう作品に携わると独特の雰囲気を劇団員たちが醸し出してくるので、それに触発されて倉田も変わるんだと思います。やはり、演出家は役者に育てられるし、役者は演出家に育てられるし、劇団はお客様に育ててもらうというその構造があって、お互いの相乗効果の結果だと思います。

――前回とはまた違った雰囲気ですか?

関戸:12年経っているので、新しいものを作っている感覚です。前回出演していたメンバーのほとんどは役が変わっているので、全員が見たことのない景色を見ていると思います。また客演の方が6人もいますからすごく新鮮ですね。

◆公演情報◆
『死の泉』
原作:皆川博子『死の泉』(ハヤカワ文庫刊)
東京:2020年2月27日(木)~3月8日(日) 紀伊國屋ホール
大阪:2020年3月13日(金)~3月15日(日) 近鉄アート館
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・演出:倉田淳
[出演]
笠原浩夫、馬場良馬、松村泰一郎、竹之内景樹、松村優、滝川広大、宮崎卓真、松本慎也、関戸博一、大沼亮吉、宇佐見輝、澤井俊輝、吉成奨人、伊藤清之、鈴木宏明、前木健太郎、富岡良太/船戸慎士、曽世海司、山本芳樹、倉本徹、石飛幸治、藤原啓児 ほか
 
〈関戸博一プロフィル〉
 スタジオライフ公演の他、声優としても活躍中。スタジオライフでの主な出演作品は、『はみだしっ子 ~ White Labyrinths ~』、The Other Life vol.10『VANITIES』、音楽劇 『11人いる』、『なのはな』、『トーマの心臓』、『訪問者』など。
 
〈松本慎也プロフィル〉
 スタジオライフ公演のほか、外部公演への出演も多数。スタジオライフでの主な出演作品は、『はみだしっ子 ~ White Labyrinths ~』、音楽劇 『11人いる』、『なのはな』、『はみだしっ子~in their journey through life~』、『トーマの心臓』、『アドルフに告ぐ』など。
 
〈藤原啓児プロフィル〉
 劇団スタジオライフ代表。スタジオライフシニア(1987年入団)。30年以上にわたり劇団員として活躍。劇団以外にも数々の作品に出演している。スタジオライフ作品は、『TAMAGOYAKI~Time Year Ago Key~』、音楽劇 『11人いる』、『なのはな』など、ほぼ全作品に出演しながら若手の育成を行っている。

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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