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スタジオライフ『死の泉』インタビュー/下

生きるというその情景がとても美しい

真名子陽子 ライター、エディター



スタジオライフ『死の泉』インタビュー/上

必死に生きている女性にシンパシーを感じるのでは?

――この作品のテーマはどういう風に捉えていますか?

松本:僕がずっと考えているのは、愛ってなんだろうということ。この物語は愛の話だと思っていて、スタジオライフの作品テーマとして、「人はひとりでは生きられない」ということを大切にしています。この作品に登場するいろんな人たちが求めている愛は、自分が生きるための愛なのか?そもそもそれは愛なのか?とか、人を求めているんだけど、それは自分が生きていくため、存在していくために利用するためなのか、それも愛なのか?じゃあ本当の愛は何だろう……そんなことを感じていて、マルガレーテがたどり着くところに、本当の愛がなければいけないなと思っています。

関戸:必死に生きるということ。あの時代、あの状況の中で、必死に生きている人たちがいて、そして、生きていくためには何が必要なのかというと、やっぱり愛が必要なんだと思います。そして、生きるということもすごく難しい。死が近づけば近づくほど人間って生きることに対する欲求だったり、世界は一体何なのかを知りたくなったり…‥。のうのうと生きていられない時代の人間にはドラマがありますよね。倉田さんはそういう必死に生きている女性にシンパシーを感じていると思います。

拡大左から、松本慎也、藤原啓児、関戸博一=森 好弘 撮影

藤原:愛と生きるという言葉が出ましたが、この作品の中に疑似家族が登場するんですね。萩尾望都先生がおっしゃっている「人はひとりでは生きていけない」という、その象徴のようなシーンなんです。それぞれがギクシャクしながらも、ひとりでは生きていけないが故にそこでなんとか生きていこうと、愛を育ませて許し合い求め合い、その結果が生きるということに繋がるし、その情景がとても美しいんです。何の説明もないんだけれども見ていてすごく美しさを感じてしまう。そういうところが、耽美的な作品に惹かれる倉田淳の琴線に触れたのかなと思います。そこが核になってどんどん物語が動いていくんです。

マルガレーテの心の変遷をたどってもらえるように

拡大左から、松本慎也、藤原啓児、関戸博一=森 好弘 撮影

――マルガレーテを演じてみていかがですか?

松本:原作ではマルガレーテ目線で書かれていることも多いので、何を考えているか分かるんだけれども、舞台の脚本には心情を吐露するシーンがあまりないんです。周りの人の話を聞いていることが多くて、そのリアクションや表情で、お客さまにマルガレーテの心の変遷をたどってもらえるような芝居を構築していかないとダメだねって二人で話したんだよね。そして、すごく難しいねって。

関戸:もうちょっと喋らせてくれれば……(笑)。マルガレーテがちゃんと存在していないといけないんですよね。周りに翻弄されていくんだけど、ただ可哀そうなマルガレーテではないんです。弱弱しくて寄る辺ないんだけども、ちゃんとそこに芯を持たないといけなくて。物語が進むにつれてマルガレーテは変化していくんだけれども、相変わらずセリフは少なく、周りから受けることで表現しなきゃいけないのは難しいところです。

松本:まだまだ試行錯誤しながらやっています。

関戸:表情や動きで表現すると言っても、それも説明過多になったらいけないですし、やはり基本は、ただそこにいる、それが倉田さんの求めていることなので。(カーテンの)レースのようにいて欲しいといった難しいダメ出しもあるんですけど(笑)、すごくやりがいがあります。

◆公演情報◆
『死の泉』
原作:皆川博子『死の泉』(ハヤカワ文庫刊)
東京:2020年2月27日(木)~3月8日(日) 紀伊國屋ホール
大阪:2020年3月13日(金)~3月15日(日) 近鉄アート館
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・演出:倉田淳
[出演]
笠原浩夫、馬場良馬、松村泰一郎、竹之内景樹、松村優、滝川広大、宮崎卓真、松本慎也、関戸博一、大沼亮吉、宇佐見輝、澤井俊輝、吉成奨人、伊藤清之、鈴木宏明、前木健太郎、富岡良太/船戸慎士、曽世海司、山本芳樹、倉本徹、石飛幸治、藤原啓児 ほか
 
〈関戸博一プロフィル〉
 スタジオライフ公演の他、声優としても活躍中。スタジオライフでの主な出演作品は、『はみだしっ子 ~ White Labyrinths ~』、The Other Life vol.10『VANITIES』、音楽劇 『11人いる』、『なのはな』、『トーマの心臓』、『訪問者』など。
 
〈松本慎也プロフィル〉
 スタジオライフ公演のほか、外部公演への出演も多数。スタジオライフでの主な出演作品は、『はみだしっ子 ~ White Labyrinths ~』、音楽劇 『11人いる』、『なのはな』、『はみだしっ子~in their journey through life~』、『トーマの心臓』、『アドルフに告ぐ』など。
 
〈藤原啓児プロフィル〉
 劇団スタジオライフ代表。スタジオライフシニア(1987年入団)。30年以上にわたり劇団員として活躍。劇団以外にも数々の作品に出演している。スタジオライフ作品は、『TAMAGOYAKI~Time Year Ago Key~』、音楽劇 『11人いる』、『なのはな』など、ほぼ全作品に出演しながら若手の育成を行っている。

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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