人間国宝の師匠は言った。「ヨンチ、もっと自由に音楽を表現しなさい」
伝統音楽とJAZZはよく似ている。ライブを生で見ないと、本当の良さはわからない!
ミン・ヨンチ ミュージシャン 韓国伝統音楽家
ジャズと韓国伝統音楽。それぞれ違うジャンルとして認識されている。
では、それを一緒に奏でた音楽は、一体何のジャンルになるのであろうか?
新しいジャンル?
まあ、そもそも、私は、音楽にジャンルなど無いと思っていますけど。
日本ツアーに行ってきました!
2月の初め、日本に行き、JAZZユニット トライソニークWITHミン・ヨンチで、名古屋、大阪、京都、東京の有名ジャズハウスツアーを行ってきました。

テグム(横笛)を演奏する筆者=2019年、ソウル南山国楽堂
まずはソウルから名古屋にインしたのですが、いつも人で超ごったがえしている、インチョン国際空港がなんとガラガラ。コロナウイルスの影響ですね。
朝8時発の飛行機だから、いつもだったら2時間前の6時には空港に着き、チェックインなどの手続きをすると丁度いいタイムなので、逆計算し朝4時に起きて家を出発。
ところがどっこい、その日はインチョン空港がガラガラなので、飛行機の搭乗口になんと1時間40分前に着いてしまった。家でもうちょっと寝れたのに。
そして名古屋に着き、ホテルに荷物だけを置いて、久々の日本でのランチ!
これが大事なのである! ほぼ3か月ぶりくらいの日本食! 日本で食べたいものが、もうすでに私の頭の中で、容量オーバーしていた。
そのツアーのコンディションにも関わる程、食は重要だ。
しかも日本に行く何日か前から、日本に行けば、あれも食べて、これも食べてと、妄想しシュミレーションまでしていたが、結局、私の足が自然に向いたのは、餃子の王将!!
どんな日本食目当ての外国人観光客も、第一食目に餃子の王将には行かないと思うよ。
餃子の王将は、中国料理が日本人好みの味のミックスにより成功した、日本大衆中華料理! 一つのジャンルを確立したに違いない。
日本で生まれ育った私には、故郷の味なのである。王将さんいつもありがとう。
まあ、とにかく、それから、名古屋の栄にある、ジャズハウス「ラブリー」に入ってトライソニークのみんなと再会。
簡単な挨拶を済ませ、すぐに、リハーサル。これが面白い。
JAZZの人たちにもよるのでしょうが、去年も一緒にツアーを回ったせいか、あまりリハーサルをちゃんとしない。サウンドチェック程度と、曲順の確認程度で終わる。もう慣れているので、びっくりはしなかったが、私だけは久々のJAZZとの共演。緊張ものである。
けどもう実は、ここからJAZZは始まっているのです。
それからの、名古屋、大阪、京都、東京のトライソニークとのライブは、曲順、曲名は一緒なのに、毎回毎回違う演奏をするのである!!
これには普段、韓国伝統音楽をメインに活動している私にとっては、地獄、いや、拷問である。
けどね、これは、すごいと思うんですよ。本当に。
なんでかというと、それほど、音楽に対する引き出しが多いという事になるからです。
でね、移動中、たまらなくて私が、「どうしていつもいつも演奏がちがうの?」って聞いたら、こう答えるんですよ。
「違う景色が観たいからかなあ」
――だって!! かっこいいーーー!!! 私もそんなん言うてみたいわーー!