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新納慎也が『十二夜』で恋する公爵を演じる/下

「1番笑える」と呼び声が高い「青木豪×シェイクスピア」作品をバージョンアップ

大原薫 演劇ライター

新納慎也が『十二夜』で恋する公爵を演じる/上 

恋をすることはこんなにも馬鹿馬鹿しいことなんだ

――新納さんはオーシーノという役をどういうイメージでとらえていますか。

 この間、清水宏さんが僕の芝居を見ながら「馬鹿だね~」と言いに来たんですよ。僕に馬鹿と言ったのか、オーシーノに馬鹿と言ったのかわからないですけど(笑)、「日に日に馬鹿だね」って。オーシーノは『レ・ミゼラブル』でいえばマリウス、『ウエスト・サイド・ストーリー』でいえばトニー。「今、こんな大変な時に、何を愛だの恋だの言っているんだ」と思いますよね。

 オーシーノは船が難破したりいろいろ大変なことが起こっている中で、僕は恋に夢中なんですという感じが馬鹿馬鹿しいし、そんな人間が最後にかっこつけて「どうだ、丸く収まったでしょう」とやるのが、またおかしい。そこで、お客様が「ああ、馬鹿だな」と思うんです。ただ、恋している人間は、オーシーノも、マリウスとトニーも、周りが見えなくて、真剣。今、人生最大の悩みを抱えていると思っている。『ウエスト・サイド・ストーリー』も元になったのは(シェイクスピアの)『ロミオとジュリエット』ですから、シェイクスピアの中では恋をしている本人は真剣でも、傍から見たらこんなに馬鹿馬鹿しいことなんだという一貫した考えがあるのかもしれませんね。

拡大新納慎也=岩田えり 撮影

――確かに。オーシーノはヴァイオラが男装したシザーリオのことを本当の男性だと思いながらも好きになってしまいます。ラストシーンには感情の大きな転換がありますね。

 以前『十二夜』を見たときは感じなかったんですが、今演じてみて、最後の方に出てくる「女の服を着せて見せてくれ」という台詞に抵抗を感じるんです。今の時代だと、最初はオリヴィアという女性が好きだったけど、ここにいるきれいな男の子シザーリオに惹かれ、性別はどうでもこの人が好きだという自分を認めることの方が素晴らしいことじゃないかと思うので。この間、坪倉(由幸)くんとも「本当は男でも、君が好きだよ」という方が素敵だよねと話していて。

 シェイクスピアが上演されたときからはだいぶ時代が変わっているので、「女性だからよかった」と喜べるオーシーノにどう自分の気持ちを寄せていくかが難しい。お客様からすると、オールメイルで演じていることで差別的な印象は払拭できるのかもしれないし、「当時はこういう性差別的な考え方があったけど、今の私たちはどうでしょうか」と考える材料になるかもしれない。まあ、そんな深刻に考える作品ではないんですが(笑)、自分はこういうところが引っかかる人間なんだと気づきました。結構リベラルな考え方をする方なんだなと思います。

◆公演情報◆
『十二夜』
東京:2020年3月11日(水)~3月22日(日) 本多劇場
大阪:2020年3月29日(日)~3月31日(火)近鉄アート館
公式ホームページ
[スタッフ]
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
上演台本・演出:青木豪
[キャスト]
前山剛久、新納慎也、納谷 健、三好大貴
坪倉由幸、清水宏
木場允視、根本大介、宮澤和之
阿南健治、春海四方、小林勝也
楽隊/ギター:助川太郎、アコーディオン:佐藤芳明
 
〈新納慎也プロフィル〉
 NHK大河ドラマ『真田丸』では豊臣秀次役を好演し、劇中での秀次没後には「秀次ロス」現象が起きた事は記憶に新しい。最近の主な舞台出演作品は、『日本の歴史』『生きる』『パレード』『ラ・カージュ・オフォール』『パジャマ・ゲーム』など。11月~12月にミュージカル『生きる』再演への出演が決まっている。
公式ブログ
公式ツイッター

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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