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 新型コロナウイルスをめぐる文化・芸術関係の「自粛」は、2月26日(水)、安倍首相による突然の「スポーツ・文化イベントの2週間程度の自粛要請」に始まった。何と翌27日(木)からは東京国立博物館を始めとして京都、奈良、九州の国立博物館が休館になり、29日(土)からは東京国立近代美術館など「国立美術館」6館も休館になった。東京都など自治体や私立の美術館の多くもそれに従った。

東京国立博物館拡大休館を発表した東京国立博物館=公式サイトより

 このニュースを知った時に、私は大きな違和感を持った。感染病の詳しいことはよく知らないが、今回のウイルスに関して言えば、美術館・博物館で鑑賞する場合、ほかの観客とおおむね2mは離れているし、普通は話をせずに静かに見るから、「飛沫感染」は考えにくい。チケットを買う時に現金や券に触るか観覧後にカタログやグッズを見る以外はどこも触らない(そもそも、作品に触ってはいけない)。

 普通に考えたら、仕事に関する場所以外で危ない「外出」は以下の順番ではないだろうか。

居酒屋、立食パーティ、カラオケ、ライブハウス、スポーツ(ジムや観戦含む)>満員電車、病院、テーマパーク>介護施設、レストラン・食堂、スーパー等店舗、学校、図書館>劇場、コンサート(着席)>映画館>美術館・博物館

 こんな「外出」の危険順はどこにも書いていないし、素人の勘だが、美術館・博物館(以降は「美術館」)は、一番感染の可能性が低い「外出」ではないか。ではなぜ、総理の「要請」に応じて国立を始めとして公立や私立の美術館まで休館に応じたのだろうか。今までそれらは、ライブハウスやスポーツジムと違って感染の「クラスター」になったことはまだないはずなのに。

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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。訳書に『魔術師メリエス――映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)、共著に『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(岩本憲児編、森話社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

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