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新型コロナで自粛続く演劇界、小劇団のリアル

公演はできるのか? 稽古場からの肉声【上】

シライ ケイタ

 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、文化イベントの自粛が要請され、演劇公演の公演中止、延期が相次いでいる。

 国立の劇場は東京、大阪の4劇場が2月28日から3月15日まで、新国立劇場は3月24日まで、全ての主催公演を中止している。東京芸術劇場や世田谷パブリックシアターなど地方自治体が設置する劇場も軒並み主催公演をとりやめた。民間では大手の東宝、松竹、劇団四季は15日までの中止を発表。宝塚歌劇団や梅田芸術劇場は9日から公演を再開した。(3月11日現在)

 その後、国立劇場、東宝、松竹は公演中止を19日まで延長すると発表。いったん公演を再開した宝塚と梅田芸術劇場も12~19日の公演をとりやめた。ホリプロも14日開幕予定だったミュージカル『サンセット大通り』の初日を20日に延ばし、パルコ劇場もオープニング・シリーズ第1弾『ピサロ』(渡辺謙主演)の初日を13日から20日に変更した。(3月12日現在)

 中小規模の劇場や劇団の判断は分かれるが、上演したい気持ち、劇場で感染が広がったらという恐れ、何の補償もない中いつまでも「仕事」を自粛していられない経済事情などが複雑にからみ合い、それぞれが苦しい決断をしている。その当事者の一人である若手演劇人、劇作・演出家で俳優のシライケイタさんに、悩みの渦中にいる「いま」を2回に分けてつづってもらった。(2回目はこちら

終わりなき自問自答の日々

拡大稽古場で演出するシライケイタ=スズキヨシアキ撮影

 新型コロナウイルスの脅威の前に、落ち着かない日々を送っています。

 僕たちの劇団、温泉ドラゴンは4月1日から5日まで、東京芸術劇場のシアターイーストで「SCRAP」という作品の公演を行う予定になっています。今年、劇団創立10周年を迎えるため「10周年記念公演」と銘打ち、劇団の総力をもって、渾身の作品を産み出すべく稽古場に通う毎日です。

 がしかし・・・。

 僕たちは今、「本当に公演を行えるのだろうか?」という大きな不安の中にいます。
新型コロナウイルスという脅威を前にして、僕たちのようなアーティストがどのような判断で行動すればいいのか、日々悩みながら、迷いながら、話し合いながら、稽古を進めています。

 去る2月26日、安倍首相より2週間のイベント自粛要請が出されました。

 その要請を受けて、次々とイベント中止のニュースが届くようになります。

 演劇に関しても、新国立劇場を始めとして大小さまざまな公演が中止の決定をしました。2000人収容の大劇場から100人規模の小劇場まで、まさに雪崩を打つように中止、または延期の判断をしていきました。

 その中には当然、僕の知人友人も多数含まれており、彼らの心中を察すると、まさに身を斬られるような思いで、公演中止のニュースを聞いていました。

 温泉ドラゴンが上演する予定の東京芸術劇場は、劇場主催の公演に関しては当面の間、中止。それ以外のいわゆる「貸し館公演」に関しては、各団体の判断に委ねるということでした。

 温泉ドラゴンは劇場との提携公演ではなく、劇場を借りて行う劇団主催の公演の為、自粛するかどうかの判断は僕らに委ねられることになりました。ここから我々の、終わりのない自問自答が始まります。

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筆者

シライ ケイタ

シライ ケイタ(劇団温泉ドラゴン代表、劇作家、演出家、俳優) 

桐朋学園芸術短期大学演劇専攻在学中に、蜷川幸雄演出「ロミオとジュリエット」パリス役に抜擢され俳優デビュー。数々の舞台やテレビ、CMに出演。2011年より劇作と演出を開始。劇団温泉ドラゴンの座付き作家・演出家として数々の作品を発表。劇団以外での演出や脚本提供も多く、アングラ劇団から老舗の新劇団まで多様な作風に対応する演出の幅の広さを持つ。社会における人間存在の在り方を、劇場空間における俳優の肉体を通して表出させる演出手法に定評があり、生と死を見つめた骨太な作品作りが特徴。「若手演出家コンクール2013」において、優秀賞と観客賞を受賞。15年、作・演出・出演した『BIRTH』の韓国ツアーを成功させ、密陽(ミリャン)演劇祭で戯曲賞を受賞した。18年『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(若松プロダクション)と『袴垂れはどこだ』(劇団俳小)の演出で、第25回読売演劇大賞「杉村春子賞」を受賞。 日本演出者協会常務理事。日韓演劇交流センター理事。日本劇作家協会会員。18年度より、セゾン文化財団シニアフェロー。 桐朋学園芸術短期大学、非常勤講師。桜美林大学芸術文化学群、非常勤講師。 著書に『BIRTH×SCRAP』(19年)がある。

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