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早霧せいなインタビュー/上

『脳内ポイズンベリー』に接して自分のネガティブ思考が愛おしくなった

橘涼香 演劇ライター


 水城せとなの大人気漫画「脳内ポイズンベリー」。二人の男性の間で揺れる、アラサー女子の携帯小説家・櫻井いちこの脳内にある、〈ネガティブ思考〉〈ポジティブ思考〉〈瞬間の感情〉〈記憶〉がそれぞれ、池田、石橋、ハトコ、岸、と名前を持って擬人化され、〈議長〉の吉田のもと、それぞれの意見を闘わせて、いちこの行動を決定する会議を繰り広げている…という、秀逸な着想によるラブ・コメディだ。

 2015年には映画化もされて好評を得たこの作品が、映画版の監督も務めた佐藤祐市の演出によって待望の舞台化を果たし、新国立劇場 中劇場で上演される。そんな作品でヒロインの脳内の〈ネガティブ思考〉池田を演じるのが、元宝塚歌劇団雪組トップスター早霧せいな。宝塚時代にも漫画原作の舞台を経験している早霧が感じた作品、共演者、舞台演出家デビューとなる佐藤祐市の魅力や、意欲などを語ってくれた。

原作漫画の面白さを必ず超えないといけない

拡大早霧せいな=岩田えり 撮影

──お稽古がはじまっていかがですか?

 原作漫画が面白いので、舞台化はそれと同じか、それ以上にまでいかないといけない、というのが自分の中の目標設定としてあります。それは原作のある作品をさせて頂く時には、常に思っていることで、原作をお好きなお客様がご覧になった時に、がっかりさせてしまうことほど悲しいことはありませんから、絶対に「舞台化されて良かった!面白かった!」と思って頂きたい。そしてその目標を越えられているか?という自分に対するプレッシャーも常にあります。

 いま稽古場で演出家の佐藤さんのアイディアが出て、セットの模型が出来てきて、共演者と一緒に台詞を交わし、コミュニケーションを取って一場面、一場面作っていく過程で、自分一人で想像していた世界を遥かに上回った立体的なものが組み立てられています。まだまだゴールは先ですが、形になる都度「これがお芝居の醍醐味だな」と感じられているので、全て積み上げられた完成品をお客様に観て頂きたい!という気持ちが高まっています。舞台創りの丁寧な作業はやはり楽しいですし、きっと皆様に楽しんで頂ける作品になると感じています。

──お稽古の中で、早霧さんご自身もどんどん手応えを得ているのですね!

 議長の吉田役の市原(隼人)さんが、自然についていきたくなるものをお持ちなんです。純粋で、実直で、精悍な感じ。纏っている雰囲気や、醸し出すオーラが綺麗で。この座長、吉田議長について行こう!と。

拡大早霧せいな=岩田えり 撮影

──それは今回の設定にとっては大きなことですね。

 そうなんです。この「脳内会議」のメンバー5人のグループでの芝居がとても大切になるので。それぞれのキャラクターのエッジを効かせる為に、結構5人が言っていることはバラバラなんですね。でも5人は、この物語のヒロイン・櫻井いちこの脳内にいる思考ですから、バラバラでありながらチームでなくてはならない。そこが面白さでもあり、難しさでもあるんですが、市原さんがある瞬間にグッと束ねてくれるんです。それがすごく心地良くて! その吸引力が素晴らしいので、座長のもと楽しくやれています。

 またヒロインの蓮佛美沙子ちゃんのお芝居が上手で、素のままでは?と勘違いさせるほど本当に櫻井いちこそのもので、観劇された皆さんは「蓮佛さんっていちこのキャラクターそのままの人なんだ!」と思われるほど、いちこの役作りをされている。そんな蓮佛さんの演じるいちこの脳内の一員になれたことが、私としてはとても幸せです。

◆公演情報◆
舞台『脳内ポイズンベリー』
2020年3月20日(金・祝)~29日(日)  新国立劇場 中劇場
※最新の公演情報は公式サイトでご確認ください
公式サイト
[スタッフ]
原作:「脳内ポイズンベリー」水城せとな(集英社クイーンズコミックス刊)
脚本:新井友香・今奈良孝行
演出:佐藤祐市(共同テレビジョン)
[キャスト]
市原隼人、蓮佛美沙子
早霧せいな、グァンス(SUPERNOVA)、本髙克樹(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)、斉藤優里
白石隼也、渡辺碧斗、河西智美
 
〈早霧せいなプロフィル〉
 2001年、宝塚歌劇団入団。2014年に雪組男役トップスターに就任。『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!-/ファンシー・ガイ!』『星逢一夜/La Esmeralda』『るろうに剣心』など、話題作に主演し、2017年に退団。退団後の主な舞台作品は、『まほろば』『るろうに剣心』『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』など。
オフィシャルHP
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筆者

橘涼香

橘涼香(たちばな・すずか) 演劇ライター

埼玉県生まれ。音楽大学ピアノ専攻出身でピアノ講師を務めながら、幼い頃からどっぷりハマっていた演劇愛を書き綴ったレビュー投稿が採用されたのをきっかけに演劇ライターに。途中今はなきパレット文庫の新人賞に引っかかり、小説書きに方向転換するも鬱病を発症して頓挫。長いブランクを経て社会復帰できたのは一重に演劇が、ライブの素晴らしさが力をくれた故。今はそんなライブ全般の楽しさ、素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えしたい!との想いで公演レビュー、キャストインタビュー等を執筆している。

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