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新型コロナに感染したドミンゴ。セクハラと日本公演を語る

「人生には辛い時がある。それを受け入れ、強い心を持って生き抜くしかないのです」

石戸谷結子 音楽ジャーナリスト

拡大聴衆の拍手にこたえるプラシド・ドミンゴ=2020年1月31日、東京都港区・サントリーホールで (C)堀田力丸

 チャールズ皇太子やイギリスのジョンソン首相など、著名人やVIPが次々と感染して世界中が脅威にさらされている新型コロナウイルス。3月22日には世界的なオペラ歌手で、1月末に来日公演を終えたばかりのプラシド・ドミンゴが、ウイルスに感染したと、自身のフェイスブックで明らかにした。

 最初はメキシコの自宅で自主隔離していたドミンゴだが、その後はアカプルコの病院に入院して治療を受けていた。79歳という決して若くはない年齢だけに、世界中のファンたちが心配していたが、3月31日になって「無事に自宅に戻り、いまは静養していて元気だ」と発表したのだ。また、「病に苦しんでいる人たちと命を救うために働いている人たちに想いを馳せている」。そして、「私たちは一緒にこのウイルスと闘い、現在の世界的危機を止めることができる」とコメントしている。

 ドミンゴとは初来日の1976年にインタビューを企画して以来、長い付き合いになる。先日の来日(1月28日と31日)に際してもインタビューをすることができた。本稿では、そのインタビューを通して傘寿を目前に、なお精力的に理想の音楽を求める姿を紹介するが、その前に触れておかなければならないことがある。昨年来、世間を騒がせている「セクハラ疑惑」である。

「セクハラ疑惑」で謝罪したドミンゴ

 2月25日、「ドミンゴ、セクハラ疑惑で謝罪」というニュースがメディアを賑わせた。昨年の8月、20人以上の女性歌手やバレリーナなどからセクハラ疑惑で告発されていたドミンゴだが、ここにきて「謝罪」を表明したのだ。

 ドミンゴはまず、「わたしが引き起こした苦痛について、心から申し訳ないと思っていることを(被害を訴えた人々に)知って欲しい」と謝り、「自分の行動に対する責任を全て受け止めており、自分はこの件で成長した」と述べた。

 さらに、「一部の女性が、断れば自分のキャリアに悪影響を及ぼすと恐れていたことを、今は理解した。でも私にそのような意図は全くなかった。誰もそのような思いをさせられるべきではない」とし、最後に「オペラの仕事場が、より安全になることが私の強い願いだ」と結んでいる。

 このニュースはどう受け止められたか。「やはり、ドミンゴはセクハラをしていたのか」と否定的に感じた人と、「周囲への配慮と責任を考慮した、ドミンゴらしい幕引きだ」と肯定的に感じた人と、様々であろう。

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筆者

石戸谷結子

石戸谷結子(いしとや・ゆいこ) 音楽ジャーナリスト

青森県生まれ。早稲田大学卒業。音楽専門出版社を経て、1985年からフリーランスの音楽ジャーナリスト。「モストリー・クラシック」誌、「音楽の友」誌などに執筆。NHK文化センター、西武コミュニティカレッジなどでオペラ講座を担当。主な著書に「マエストロに乾杯」「オペラ歌手はなぜモテるのか?」「オペラ入門」「ひとりでも行ける オペラ極楽ツアー」「石戸谷結子のおしゃべりオペラ」など。

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