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新型コロナウイルス禍、パリの“軟禁生活”は「他人の命を守るため」

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

感情が追いつかない非現実な現実

 コロナ禍はまさに雪崩のようにフランスを呑み込み、生活を一変させた。2020年3月23日現在で、フランスの感染者数は1万9856人、死者数は860人を数える。

 とりわけ緊急措置が実行に移されるスピードには驚かされる。筆者はパリ在住で、目下、“自宅軟禁”中の身の上。ここ数日の仏政府の決定は、これまで国が経験したことのないドラスティックなものばかりで、非現実な現実に感情が追いつかないほどだ。

 まず3月8日にはウイルスの感染拡大を受け、デモ、試験、公共交通手段の運営を除く1000人以上の集会が禁止された。

 3月12日にはマクロン大統領がテレビ演説し、翌週の16日月曜から、幼稚園から大学まで一斉の休校措置を勧告。この重大な演説から国の空気が変わるのがわかった。翌13日には100人以上の集会が禁止に。映画や演劇、音楽、スポーツなどの興行界に衝撃が走った。

 14日の19時半にはフィリップ首相が、「ウイルス感染がstade3(拡大期)に入った」と明言し、必要最低限の買い物や運動以外は、外出しないよう国民に呼びかけた。同時にカフェやレストランなど飲食店、美術館や映画館などの文化施設、バーやディスコ、商店など、生活に必要不可欠でないとされる公に開かれた場所は、15日の深夜0時に一斉封鎖することを決定した。

 フランスが誇るカフェや映画館が閉まると聞き、これは本当に戦時に匹敵する非常事態なのだと、

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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

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